竹中團次郎

竹中 團次郎（たけなか だんじろう）

江戸時代後期に活躍した国学者。生没年は明らかではない。播磨国印南郡志方（現在の兵庫県加古川市にあたる地域）の出身。

人物

團次郎は、父を文左衛門敬徳、母を玉田氏として生まれた。その祖先は、かつて志方城主であった櫛橋左京亮に仕えていたが、城が落城した後は民間に移り、代々村の要職である里正を務めていた家柄である。

彼は幼い頃から非常に聡明であり、学問をよく修めた。特に国学はもとより、漢学にも深く通じており、その学識は広く知られていた。そのため、彼の評判を聞きつけて、当時近くにあった姫路藩の藩士たちが教えを請いに訪れることも多かったという。

また、当時の著名な文人として知られる頼山陽が仁寿山（姫路市）を訪れた際には、彼と頻繁に行き来し、親交を深めたことが伝えられている。

團次郎は、学問への傾倒だけでなく、地域社会の発展にも強い関心を寄せていた。ため池の築造や川の整備といった公共の利益を図る事業に熱心に取り組み、その功績は広く認められた。その社会貢献が評価され、武士の象徴である二字帯刀（名字を名乗り、帯刀すること）を許されるという栄誉を得た。現在も「大池」と呼ばれる中堤は、彼の残した重要な事業の一つであり、地域の住民は代々その恩恵にあずかっている。

さらに、彼は社寺に対する信仰心も篤かったことが知られている。当時地域内にあった道場を、その篤い信仰に基づき一つの寺院へと発展させ、「福正寺」と名付けたとされている。

竹中團次郎は、生没年こそ定かではないものの、国学者としての学識と教育者としての側面、そして地域社会の公益に尽くした功績、さらに宗教的な活動に至るまで、多方面にわたりその足跡を残した人物であったと言える。

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