竹内博

竹内博（たけうち ひろし） - 特撮映画研究家の軌跡

竹内博（1955年8月15日 - 2011年6月27日）は、日本における特撮映画研究の第一人者であり、香山滋の研究者としても知られています。彼は特撮関連の多数の著書を著し、また日本推理作家協会や日本SF作家クラブの会員としても活動していました。特に、酒井敏夫の名でも特撮関連の書籍を執筆しました。また、竹内が主催した特撮研究グループ「怪獣倶楽部」も重要な活動の一環です。

生い立ちと学び

竹内博は東京都江東区に生まれ、後に神奈川県横須賀市に移り住みました。少年期から怪獣小説や特撮映画にのめり込み、中学卒業後の1971年に円谷プロダクションに入社します。円谷プロでは営業、企画、制作など幅広い業務に携わりましたが、当時の円谷社長である円谷一の自宅に居候しながらの活動でした。1987年には円谷プロを退社し、その後は特撮研究家としての道を歩みます。

研究と著作

竹内は、大伴昌司に師事し、彼の急逝後はその理念を受け継いで多くの特撮研究書や怪獣に関する著書を執筆しました。また、彼は特撮に関する多くの資料を収集し、その中には香山滋の著作や生原稿も含まれていました。香山との出会いは、彼の短編『妖蝶記』から始まり、初対面の際にはサインをもらうために香山の家を訪れたというエピソードがあります。こうした出会いが彼の研究活動に大きな影響を与えました。

竹内は香山滋全集を責任編集するなど、香山に対する深い敬意と愛情をもって研究を続けました。彼が編纂した作品は、日本文学の一部としても高く評価されています。

怪獣倶楽部の設立

1975年、竹内はアマチュアの中島紳介や多くの志を同じくする仲間と共に「怪獣倶楽部」を結成しました。このサークルは、後の特撮やアニメ研究の基盤となり、多くの評論家や作家を輩出しました。メンバーには、安井ひさし、聖咲奇、金田益実などが名を連ねており、特撮研究においていうならば、アカデミーのような役割を果たしました。

2017年には、この怪獣倶楽部を題材にしたテレビドラマ『怪獣倶楽部〜空想特撮青春記〜』が放送され、竹内をモデルにしたキャラクターを塚地武雅が演じました。このことからも、竹内の影響が大きかったことが伺えます。

代表的な著作

竹内の著作は多岐にわたり、代表的な作品には『ウルトラ怪獣大事典』や『OHの肖像』、写真集『特技監督円谷英二』などがあります。また、彼の名義だけでなく、酒井敏夫としての作品も多く、特撮、怪獣に関する資料を豊富に提供しています。彼の著作は特撮文化の発展に寄与しており、その功績が後世に伝わることを願っています。

最後の日々

2011年6月27日、竹内博は東京都八王子市の病院で多臓器不全によりこの世を去りました。享年55歳。彼の死は特撮爱好家だけでなく、多くのファンにとっても大きな喪失でした。竹内博の残した作品は、特撮の世界における貴重な遺産であり、今もなお多くの人々に影響を与えています。

もう一度検索