竹内栖鳳

竹内 栖鳳 (たけうち せいほう)

元治元年11月22日（1864年12月20日）から昭和17年（1942年）にかけて活躍した竹内栖鳳は、日本の戦前における著名な日本画家です。彼は近代日本画の先駆者であり、画業は半世紀に及び、京都画壇では卓越した存在として知られています。また、彼は帝室技芸員であり、第1回文化勲章の受章者でもあります。本名は竹内恒吉（たけうち つねきち）であり、最初は「棲鳳」という号を使用していましたが、後に「栖鳳」と改めました。

画歴

竹内は京都市中京区で、川魚料理店「亀政」の一人息子として生まれました。彼は1877年に四条派の土田英林に絵を学び始め、1881年には円山・四条派の名手、幸野楳嶺の私塾に入門しました。この時期から彼は自らの才能を開花させ、翌年には私塾の工芸長に任ぜられ、楳嶺の「四天王」として名を馳せます。

1887年、栖鳳は23歳で結婚し、独立した絵師としての道を歩み始めます。同年に京都府画学校を修了し、1889年からは教員としても活動を始めました。栖鳳は新古美術会や日本絵画協会に出品し、若手画家としての名声を高めました。1891年には青年画家懇親会を結成し、1893年のシカゴ万博にも作品を出品しました。1899年には京都市立美術工芸学校の教諭に就任します。

1900年、栖鳳は神戸から出帆し、パリ万博で『雪中燥雀』を展示し銀牌を受賞。これを機に約7か月間、ヨーロッパを旅しました。この旅は彼の画風に影響を与え、西洋の写実技法を取り入れる契機となります。帰国後は「栖鳳」と名乗り、1907年から1918年まで文展の審査員を務め、1913年には帝室技芸員に推挙され、京都画壇の首領としての地位を確立しました。

1924年にはフランスのレジオンドヌール勲章、1931年にはハンガリーの最高美術賞とドイツのゲーテ名誉賞を受賞。また、1937年には文化勲章を受章するなど、名実ともにその地位を固めました。彼は晩年に胃潰瘍を患い、神奈川県の湯河原町に静養する計画を立て、天野屋旅館を別荘として利用しました。しかし、1942年に病気が悪化し、湯河原で肺炎により亡くなりました。

画業

竹内栖鳳の画風は四条派を基盤としつつ、狩野派や西洋の写実技法も取り入れた斬新なものでした。彼は時として守旧派からの批判を受けましたが、それを通じて日本画の革新運動に貢献しました。大画面を巧みに操作する技術と雄大な筆致により、彼は近代の日本画界で重要な存在として認識されています。

幸野楳嶺の奨励を受け、栖鳳は写生を重視しました。動物画においては、珍しい動物から身近なものまで幅広く手掛け、自宅で飼っている動物をモデルに描いたことでも知られています。彼の作品には写実的な描写力が際立っており、特に「写生帖」には精緻な技法が示されています。

師弟の関係

栖鳳は弟子の育成にも注力し、画塾「竹杖会」を主宰しました。彼の教えを受けた弟子たちには、上村松園、西村五雲、伊藤小坡などが名を連ね、京都画壇の多くを担う画家が育成されました。

主な作品

彼の残した作品には、『大獅子図』、『羅馬之図』、『雨霽』などがあり、特に『飼われたる猿と兎』や『班猫』などは重要文化財に指定されています。これらの作品は、その技術の卓越さを物語っており、今なお高く評価されています。

竹内栖鳳はその目覚ましい業績によって、近代日本画の発展に大きく貢献した画家として、後世に残る偉大な存在です。彼の影響は今日の日本画にも色濃く残っており、研究や評価は今後も続くでしょう。

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