竹内街道

竹内街道：古代日本の幹線道路

竹内街道は、大阪府堺市から奈良県葛城市にかけて延びる、日本最古の官道とされる古代の幹線道路です。かつては丹比道とも呼ばれ、二上山の南麓を通り、大和国と河内国を結ぶ重要な役割を果たしました。

概要

現在の竹内街道は、堺市大小路から竹内峠を越え、葛城市長尾神社付近までの約26キロメートル（大阪府内は23キロメートル）が残っています。飛鳥時代には幅30メートルにも及ぶ大道だったとされますが、両端の難波や飛鳥が市街地化しているため、当時の面影はほとんど残っていません。しかし、街道沿いには応神天皇陵、仁徳天皇陵、推古天皇陵など、数多くの古墳が点在しており、物資輸送や文化交流の重要なルートであったことが伺えます。古市古墳群と百舌鳥古墳群の中央部を東西に走るこの道は、二つの巨大な古墳群を結ぶ役割も担っていたと考えられています。また、この街道を直線に延長すると、誉田山古墳と大仙古墳に接するように通っていることがわかり、これらの古墳が北緯線上に計画的に造られたことを示唆しています。

成り立ちと歴史

竹内街道は、日本書紀に推古天皇21年（613年）に「難波より京に至る大道を置く」と記されているように、日本最古の官道の一つです。一説には、聖徳太子が遣隋使の帰国に際し、大陸からの使者を迎えるために整備したとも言われています。現在の竹内街道は、その多くが推古天皇時代の官道と重なっており、東側は奈良盆地南部の官道である横大路に繋がっています。

壬申の乱の際には、この街道が戦の舞台にもなったことが記録に残っており、当時は長尾街道と共に重要な交通路でした。官道として整備されたのは7世紀初め頃ですが、二上山西麓には4～5世紀の古墳が多数存在するため、それ以前から人々の往来があったと考えられます。

飛鳥時代には、遣隋使や留学僧がこの道を行き来し、難波に上陸した大陸の先進文化は、竹内街道を通って大和へ伝えられ、飛鳥文化の発展に大きく貢献しました。また、シルクロードを経て海路で伝来した仏教も、この街道を通って大和に広まり、日本の文化の礎を築いたと言われています。

中世には伊勢街道の一部となり、1890年に府県道、1974年には国道166号に指定され、飛鳥時代から現在に至るまで、街道として利用され続けています。

近世には、起点が堺大道筋（紀州街道）との交差点となり、江戸時代には、松尾芭蕉が沿道の竹内集落に一時滞在していたとされ、現在では芭蕉の歌碑である「綿弓塚」が公園として整備されています。

経由地（沿線施設）

以下に、西側（堺市）から東側（葛城市）にかけての主な経由地と沿線施設を記載します。

堺市
堺（大小路交差点、大道筋交点）
瓦町（堺市役所）
榎元町（西高野街道との分岐）
大阪市交通局中百舌鳥検車場北側
ときわま線との交差
金岡町（金岡神社）
大阪中央環状線との斜め交差（この付近で難波大道と合流）
大泉緑地南沿い
野遠町（下高野街道との交差）
西除川（西除橋）
松原市
岡町（丹南北交差点、国道309号交点）
岡（丹南東交差点、中高野街道と交差）
立部（立部西・立部東交差点、大阪中央環状線交点）
羽曳野市
野（野公民館前）
東除川（伊勢橋）
天仁病院前
ボケ山古墳（仁賢天皇陵）付近
軽里1丁目交差点
白鳥交差点（国道170号交点）
古市駅前
上ノ太子駅前（国道166号）
南河内郡太子町
六枚橋交差点（太子町役場付近）
（旧街道）
竹内街道歴史資料館
風鼻橋東詰交差点（道の駅近つ飛鳥の里太子付近）
竹内峠
葛城市
高峰神社付近
（旧街道・竹内集落内）
芭蕉旧跡綿弓塚
竹内交差点南
長尾街道交点
長尾神社
長尾交差点（以東は横大路）

文化とイベント

竹内街道は、歴史的な価値だけでなく、地域文化の象徴でもあります。特に太子町では、春には「太子聖燈会」、秋には「竹内街道灯路祭り」が毎年開催され、多くの人々が訪れます。

結論

竹内街道は、古代から現代まで、人々の生活と文化を支えてきた重要な道です。その歴史的な価値は高く評価され、2017年には大阪で初めて日本遺産にも認定されました。現在も多くの観光客が訪れ、歴史散策を楽しむことができます。

参考資料

浅井建爾『道と路がわかる辞典』
ロム・インターナショナル編『道路地図 びっくり!博学知識』

関連項目

日本の古代道路
難波大道
長尾街道
太子町立竹内街道歴史資料館

外部リンク

* 竹内街道ウォーキングマップ - 大阪府のページ

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