竹本弥太夫

竹本弥太夫の歴史

竹本弥太夫（たけもと やたゆう）は、日本の義太夫節において重要な役割を果たしてきた太夫の一族です。初代から6代目まで、彼らの名前は日本の伝統的な演劇文化と深く結びついており、それぞれがその時代を象徴する存在として歴史に名を刻んでいます。

初代弥太夫の誕生

初代弥太夫の生年は不詳ですが、文政3年（1820年）に亡くなったことが記録されています。彼はもともと初代竹本岡太夫の門弟であり、通称「桜橋紙屋儀右衛門」として知られていました。最初は有規堂千賀太夫の弟子となり、竹本千代太夫という名を名乗っていましたが、その後、師匠の死を受けて岡太夫の門下に移り、豊竹磯太夫を経て初代弥太夫として成長しました。彼の弟子からは二代目竹本岡太夫が誕生しています。彼はまた「紙屋弥太夫」と呼ばれてもいました。

二代目・三代目の受け継ぎ

二代目弥太夫は生没年不詳ですが、初代弥太夫の門下から豊竹磯太夫が1820年に襲名しました。通称「平野屋長七」として知られ、後に三代目に受け継がれます。

三代目の弥太夫も生没年は不明ですが、彼は二代目の弟子であり、「竹本浜太夫」を名乗っていました。彼は後に竹本磯太夫として活動し、1841年に三代目弥太夫を襲名しました。この名前は、竹本綱太夫系としても知られる竹本浜太夫に由来しています。

四代目・五代目の名声

四代目は文化11年に生まれ、1868年に亡くなりました。彼は阿波国小松島出身で、初めは小松太夫の門下で学びました。1843年に京都の芝居で三代目竹本実太夫を襲名し、1854年には四代目弥太夫を襲名しました。通称は「小川屋米吉」で、阿波地方での生活から「馬方弥太夫」というあだ名でも知られています。

五代目弥太夫（1837-1906）は、本名が木谷伝次郎で、大阪府堀江に生まれました。彼は1848年に三代目竹本長門太夫の門下である竹本小熊太夫を名乗り、1853年に竹本長子太夫に改名します。1864年には四代目弥太夫の門下に入り、1868年に五代目弥太夫として活動を始めました。得意とする演目「大晏寺」では「堀江の大師匠」として名を馳せ、後進の指導にも尽力しました。

六代目・弥太夫の現在

六代目は1866年に生まれ、1924年に亡くなりました。彼の本名は竹内亀松で、大阪府南堀江で育ちました。1884年に五代目の門下生として「弥生太夫」と名乗り、1886年には上京して初代竹本綾瀬太夫の弟子となりました。1899年には引退を表明し、以後は後進の育成に力を注ぎました。世話物などを得意としており、彼の演技は多くの人々に愛されました。

まとめ

竹本弥太夫の系譜は、日本の義太夫節の歴史そのものであり、初代から六代目までの活動を通じて、彼らは日本の伝統芸能を継承し、発展させてきました。彼らの存在は、今後の義太夫の世界にも影響を与え続けることでしょう。

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