竹本摂津大掾

竹本摂津大掾: 日本の義太夫節の名手

竹本摂津大掾（たけもと せっつだいじょう、1836年4月30日 - 1917年10月9日）は、日本の義太夫節における著名な太夫であり、本名は二見亀次郎です。彼は初め、南部太夫という名で知られていましたが、1860年に二代目竹本越路大夫を襲名し、明治時代の文楽を代表する存在となりました。

生い立ち

竹本摂津大掾は、1836年に摂津国（現在の大阪府）で生まれる。彼は塗物の商家に生まれ、幼名は吉太郎と名付けられました。若い頃、二見亀次郎として二見伊八の養子となり、11歳から浄瑠璃の世界に飛び込みました。彼は竹沢竜之助に三味線を学び、その後鶴澤清七（3代目）に師事することで技術を磨きました。

初期の活動

1858年には竹本春太夫の門下に入門し、初名を竹本南部太夫として活動を開始しました。この時期、彼の才能が次第に認められ、万延元年には二代目竹本越路大夫を襲名します。明治時代に入ると彼は文楽の舞台に登場し、1865年に文楽座で初舞台を果たしました。

文楽における活躍

1877年には名人の豊沢団平（2代目）とともに活躍し、彼らの人気は高まりを見せました。1883年には文楽座の櫓下となり、彦六座に対抗する形で豊沢広助（5代目）や吉田玉造（初代）などと手を組み、文楽座を支えました。摂津大掾の美声とその品格は多くの観客を魅了し、彼は人形浄瑠璃の全盛期を支えました。

特に1903年には竹本春太夫（6代目）を名乗るようになり、小松宮彰仁親王から摂津大掾の名を贈られました。彼は「妹背山」、「本朝廿四孝」、「先代萩」といった作品を語り、約75日間にわたる公演で大入りの成功を収めました。

引退と晩年

1913年に「楠昔噺」を最後に人形浄瑠璃の舞台を引退し、その後は兵庫県の須磨で静かな生活を送りました。摂津大掾は1917年に老衰によりこの世を去り、彼の墓所は大阪市天満の宝珠院にあります。

業績と影響

竹本摂津大掾は、初代竹本南部太夫、二代目竹本越路大夫、6代目竹本春太夫としても知られています。彼は一時、竹本寿太夫の襲名も検討していたと言います。その美声と独自の演技スタイルは、後の世代の太夫たちに多大な影響を与えました。彼に関する記録は、水谷不倒著の「竹本摂津大掾-竹本南部太夫」（1904年）や、1905年のレコード「本朝廿四孝・十種香の段」などがあります。

このような背景を持つ竹本摂津大掾は、文楽の伝統を受け継ぎ、その発展に寄与した重要な存在として、今なお多くの人々に尊敬されています。

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