竹束

竹束（たけたば）

竹束は日本で使用された伝統的な盾の一種であり、特に戦国時代から江戸時代にかけて用いられました。この盾は、竹を束ねて縄で縛ったもので、円柱形の特徴的な形状をしています。竹束の導入は、戦闘における火縄銃の普及に大きく影響されました。

歴史的背景

戦国時代に入ると、火縄銃の使用が増加し、これに伴い、従来の木の板で作られた盾では十分に防御できなくなっていました。当時の火縄銃は大きな弾丸が使われており、その破壊力は強力でしたが、弾丸は丸い形状であり、施条もなかったため貫通力はそれほど高くありませんでした。こうした理由から、竹束は火縄銃の弾丸を防ぐための効果的な手段として考案されたのです。

竹の特性により、材料の調達も容易であり、多くの戦闘部隊で使用されるようになりました。ただし、竹束には比較的燃えやすいという欠点も存在しました。一般的には小型のものは約180cm、より大きなものだと240cmほどのサイズで用いられていました。

使用方法

竹束は、兵士が持ち運ぶ他にも、木製の盾の前面に並べたり、車輪を取り付けて移動可能にするなどの様々な使用方法がありました。また、九鬼水軍は囲船に大量の竹束で船の壁や屋根を覆い、防弾効果を高めるために利用しました。

この盾は防具として使われたものの、主に攻城戦で活躍した点が特筆すべき特徴です。正史にも、織田信忠軍が攻めた神吉城の攻城戦において、竹束の使用は中国側の武将にとっては新しい戦術であり、その効果が明らかになりました。従来の籠城戦を知らなかった武将に対して、竹束を用いることで攻撃が効果的に行われたという記録も残されています。

さらに、通路状に竹束を配置した「竹束道」と呼ばれる方法も存在しましたが、これは大量の竹束を必要とし、移動の範囲が限定されるため火攻めにあうリスクが伴いました。

竹束の技術

竹束に関する記録の中で、武蔵騎西城堀跡での出土事例が知られています。また、竹中半兵衛による『軍法極秘伝書』には竹束に関する技術や陣形が描かれており、特に逆V字形に立てられた配置についての記述があります。傾斜に立てかけて使用する「竹束牛（うし）」のような構造もあり、この場合、支持部位が必要となります。傾斜を活かすことで、竹の厚みを増すことができるのです。

竹の強度は年齢や切り出した季節によって異なるため、竹束の製作にあたっては、三歳以上の竹を冬至の十日前に切り出すことが推奨されていました。切り出した後は、適切な乾燥処理が行われ、一般的に半年以上寝かせることでその強度が確保されたと考えられています。これらの加工技術についての詳細な記録は残っていないものの、当時の人々は竹束を作るために必要な技術を持っていたと推察されます。

まとめ

竹束は、日本の戦国時代を代表する軍事用具の一つであり、その特異な形状と使用法から多くの戦局に影響を与えました。今日では、この竹束の存在とその役割についての研究が進められ、その重要性が徐々に見直されています。

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