竹田湧水群

竹田湧水群：豊かな自然が育む、九州を代表する名水

大分県竹田市祖峰地区に広がる竹田湧水群は、その豊かな水量と清らかな水質から、名水百選に選定された、全国的に知られた湧水地帯です。竹田市自体も「水の郷百選」に選ばれており、水資源の恵み豊かな地域であることを示しています。

阿蘇山系の伏流水が育む、命の水

竹田湧水群の水源は、阿蘇山系に降った雨が長い年月をかけて地中に浸透し、地下をゆっくりと流れてきた伏流水です。大野川水系の緒方川や玉来川の流域に点在し、祖峰地区の県道竹田五ヶ瀬線沿いには約60ヶ所もの湧水を確認することができます。その日量6～7万トンにも及ぶ豊富な湧水は、地域社会を支える貴重な資源となっています。

多様な利用と地域社会への貢献

古くから、竹田湧水群の水は、地元住民の生活用水や農業用水として利用されてきました。近年では、その水質の良さから、ミネラルウォーターとして瓶詰めされ販売されるほか、淡水魚の養殖にも活用されるなど、多様な形で地域社会に貢献しています。湧水群周辺には、水を利用した観光施設なども整備されており、地域経済の活性化にも繋がっています。

観光客に人気の入田地区の湧水

特に、入田地区にある湧水群は、観光客に高い人気を誇ります。透き通るような美しい水と、豊かな自然環境は、訪れる人々に癒やしを与えてくれます。代表的な湧水として、以下のような場所が挙げられます。

泉水湧水: 火山岩の亀裂から湧き出る、透明度が高く、まろやかな味わいの水。九州屈指の名水として知られています。日量4,340m3の湧出量を誇ります。
河宇田湧水: 緒方川沿いに位置し、湧水群の中でも最も湧出量が多い湧水。周辺には、公園や水車、川魚料理店などが整備され、湧水観光の中心地となっています。ホタルの名所としても知られています。日量8,560m3もの水が湧き出ます。
矢原湧水: 民家の裏手にひっそりと湧き出る、こじんまりとした湧水。日量3,520m3。
長小野湧水: 鳴瀧と塩井の2つの湧水からなります。鳴瀧湧水は、鳴滝神社の境内にあり、岩肌から湧き出る水が滝を形成しています。古くから信仰の対象とされ、不治の病が治ったという伝説も残されています。塩井湧水は、鳴瀧湧水の上流約2kmに位置します。鳴瀧湧水の湧出量は日量940m3、塩井湧水は日量5,610m3です。

水質と水温

竹田湧水群の水質は淡水型で、硬度は50.43～65.79mg/Lと軟水に分類されます。水温は約16℃と一年を通して安定しており、この安定した水質と水温が、多様な生物の生息を支えていると考えられます。

自然と人との共生

竹田湧水群は、単なる水資源にとどまらず、地域住民の生活、歴史、文化と深く結びついた存在です。これからも、この貴重な自然資源を次世代に引き継いでいくため、保全と持続可能な利用が重要となります。美しい自然と豊かな水に恵まれた竹田湧水群は、これからも人々を魅了し続けることでしょう。

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