竹腰健造

竹腰健造の生涯と業績

竹腰健造（たけこし けんぞう、1888年6月25日 - 1981年7月28日）は、日本の建築界で特に顕著な業績を残した建築家です。彼は石川県金沢市で生まれ、名家の養子として育ちました。父の岩村高俊は当時の石川県知事であり、その影響を受けながら健造は学問に専念し、順調に学び続けました。横浜での高校卒業後、東京帝国大学工科大学へ進学し、建築を学びましたが、その選択には家族からの期待が関係していました。

学業と留学

健造は大学卒業を控えた頃、実兄の岩村透の助言を受けて英国のアーキテクチュラル・アソシエーション・スクール（AAスクール）に留学することを決意しました。1913年の秋、彼はロンドンに渡り、専門の建築技術だけでなく、芸術としての側面にも焦点を当てました。エッチングの技術を学び、画家としても評価を受けたことがあります。彼はローヤル・インスティテュート・オブ・ブリティッシュ・アーキテクツ (RIBA) のアソシエート資格を取得し、帰国後には日本における近代建築の発展に寄与しました。

住友総本店でのキャリア

1917年に帰国後、健造は住友総本店の建築部に就職します。彼は住友ビルディングの設計に深く関与し、鋼材の調達や建築の基礎工事の重要な役割を担いました。彼の努力により、住友ビルは完成に至ります。しかし、その後の日本経済の大恐慌や内部の人員削減の影響を受け、健造は難しい状況に直面します。この時、彼は同僚の長谷部鋭吉と共に、独立した設計事務所を立ち上げる決意を固めます。

長谷部竹腰建築事務所の設立

1933年、健造は長谷部と共に「株式会社長谷部竹腰建築事務所」を設立します。設立当初は29名のスタッフを擁し、建築設計の幅広い業務を展開しました。この時期から、彼は日本の近代建築の発展に大きく寄与し、設計した建物は今なお評価され続けています。また、竹腰建築事務所は後に「双星社」と改称され、健造自身も名誉ある賞をいくつも受ける結果となりました。1962年には日本芸術院賞も受賞し、その功績が広く認められました。

人物と家族

竹腰健造は名家に生まれ育った影響を受けつつ、独自の道を歩んできました。彼の一族は多彩な業界で活躍しており、健造自身も多くの人々と繋がりを持っていました。妻は養父の一人娘の静であり、長男の竹腰洋一はその後、大蔵省でのキャリアを経て民間企業にて副社長として活躍しました。そのような背景を持ちながらも、健造は自身の専門分野での追求に専念し、建築界に多大な影響を与えました。

健造は1981年に93歳で亡くなるまで、日本の建築界における偉大な意思を示し続けました。その実績や人柄は、今後も多くの人々に影響を与え続けることが期待されます。彼の作品や業績は、今日の建築にとって重要な資産となっています。

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