笑殺軍団リリパットアーミー

笑殺軍団リリパットアーミーの概要

笑殺軍団リリパットアーミー（しょうさつぐんだんリリパットアーミー）は、1986年6月に中島らもと若木え芙（現在のわかぎえふ）によって設立された劇団です。この劇団の創設には、ある出来事がきっかけになりました。中島らもはある芝居を観てその内容に失望し、誓って自ら新しい劇団を作ることを決意しました。また、同時にウェイトレスとして働いていた若木え芙にも声をかけ、共に「上下関係を廃し、今までにない新しい芝居を作る」との理念で活動を始めました。

その結果、劇団にはまったく異なる職業を持つ芸術的素養のない人々が集まり、演劇とは異なる要素が取り入れられたユニークな作品が生まれました。劇団名は、「ガリバー旅行記」に登場する小人の兵隊から名付けられたもので、初代メンバーには中島らも、若木え芙の他に、キッチュ（松尾貴史）、ひさうちみちお、鮫肌文殊、ガンジー石原、木本雄一郎などが名を連ねています。

劇団のスタイル

リリパットアーミーの特徴は、ナンセンスなギャグを交えた演劇スタイルにありました。初期メンバーは稽古に遅れがちで、酒盛りをしては台本を無視してアドリブで演じるなど、通常の劇団からは考えられない状況が日常茶飯事でした。しかしながら、わかぎの強い指導と情熱により、その状況が改善され、徐々に滑稽で魅力的な作品が世に送り出されていきました。これにより劇団の知名度も高まり、出演者にはギャラが支払われるなど、他の劇団とは異なる取り組みが行われました。

だがやがて、中島らもが「観客に暗い話は見せたくない」と言う一方で、若木え芙は「起承転結を持つ芝居らしい作品」を求めるようになり、両者の間にはっきりとしたズレが生じてきます。そして、劇団内の規律が次第に確立されていく中、若木が実質的なリーダーとして劇団を運営することになります。

中島らもと若木え芙の関係

中島らもは精神的な問題で悩むことが多く、躁鬱病の影響で劇団活動に参加することが難しくなり、1996年には名誉座長の地位から平座員へと格下げされました。そして2001年には正式にリリパットアーミーから引退を表明しました。その後、若木え芙は「リリパットアーミー」の名を引き継ぎ、独自に「リリパットアーミーII」として活動を続けています。

公演履歴と作品の一部

リリパットアーミーは数々の公演を行い、昨今でもその功績が称えられています。特筆すべき作品には、初回公演「X線の午後」や、1988年の「ワラワン殿下の失踪と逃走」、さらに1996年の「天外綺譚 セイント・イーブル」などがあります。これらの作品は、特異な発想とユーモアにあふれ、多くの観客の支持を得てきました。

特に「X線の午後」では、来場者にちくわが配布されるという独自の入場システムが話題を呼び、その後の公演でも「ちくわの狂い投げ」と名付けられるユニークな演出が定着しました。

現在の活動と関連書籍

現在、わかぎえふが中心となり、リリパットアーミーの名を冠した劇団として活動を続けています。様々な著作や公演を通じて、中島らもや若木え芙の作品は引き続き舞台芸術に影響を与えています。関連書籍として、中島らもとわかぎえふによる共著『リリパット・アーミー』や、「X線の午後」などが出版されています。

リリパットアーミーは、その独特のスタイルと無邪気な発想で演劇の新しい地平を切り開き、多くのファンに愛され続けている劇団です。

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