笑福亭生喬

笑福亭 生喬（しょうふくてい せいきょう）

笑福亭 生喬は、1968年11月26日に三重県松阪市で生まれた落語家です。本名は小西 正之（こにし まさゆき）。上方落語界において、六代目笑福亭松喬の門下に入り、その芸を磨いてきました。松竹芸能に所属し、多方面で活躍しています。

芸歴と落語への道

生喬師匠が落語の世界へ足を踏み入れたのは、大阪芸術大学在学中のことでした。当初は油絵を専攻していましたが、ふとしたきっかけで立ち寄った大学の落語研究会で上方落語の魅力に強く惹きつけられます。ここでの出会いが彼の人生を大きく変えることになります。

落語研究会では「浪遊亭小弁闘（なみゆうてい こべんとう）」という高座名で活動し、舞台に上がって経験を積みました。大学で共に落語に取り組んだ仲間の中には、現在上方落語界で活躍する桂南天師匠もいます。大学卒業後、1991年3月17日に六代目笑福亭松喬師匠の門を叩き、プロの落語家としての道を歩み始めました。

人物像と多彩な一面

生喬師匠は、落語家としての活動に加え、様々な顔を持っています。

特に知られているのが、その料理の腕前です。年に2回開催される独演会『生喬メシ！』では、自身の落語を披露するだけでなく、師匠自らが腕を振るった手料理をお客様に振る舞うという企画を行っており、大変好評を博しています。落語と美味しい料理を一度に楽しめるこの会は、師匠の人柄がうかがえるユニークな取り組みと言えるでしょう。

また、上方落語協会茶道部「楽茶会」の会員でもあり、茶道の心得もあります。文化的な素養の深さがうかがえます。

意外な一面として、宝塚歌劇団の大ファンとしても知られています。特に、元雪組男役スターの大湖せしるさんの熱烈なファンだそうです。宝塚ファンが集うイベントでは、「花詩歌タカラヅカ」という団体に所属し、「美園 章（みその あきら）」という芸名で活動した経験もあるといいます。

師匠の家庭生活においては、奥様が熱心な落語ファンであることが特筆されます。かつては年間200回以上もの落語会に足を運ぶほどの情熱を持っていましたが、現在は年間120回程度と少し落ち着かれたようです。奥様は師匠の落語を客観的に見ており、時に厳しいながらも的確なアドバイスをしてくれる、かけがえのない存在であり、師匠の芸を支える大切な理解者です。

受賞歴

生喬師匠は、その実力が評価され、数々の賞を受賞しています。

2000年 「第37回なにわ芸術祭新進落語競演会」で新人奨励賞を受賞し、若手の注目株として認められました。
2012年 「第7回繁昌亭大賞」で奨励賞を受賞し、上方落語の定席である天満天神繁昌亭での活躍が評価されました。
そして、2013年には「第8回繁昌亭大賞」において、見事「大賞」に輝きました。これは、上方落語界における最も栄誉ある賞の一つであり、師匠が実力派落語家として確固たる地位を築いたことを示す大きな出来事でした。

これらの受賞は、師匠が地道に芸を磨き、多くの観客を魅了してきた証と言えるでしょう。

メディアでの活動

落語会での高座を中心に活動していますが、テレビや映画といったメディアにも登場しています。

テレビでは、2021年にBS朝日で放送された「御法度落語 おなじはなし寄席！」に出演し、「辻占茶屋」を披露しました。
また、2022年10月から12月にかけて放送されたテレビアニメ「うちの師匠はしっぽがない」では、落語アドバイザーとして制作に携わり、落語の世界をアニメーションで表現する上で重要な役割を果たしました。
映画では、1999年の「阪野パノラミイク」という作品の一部である「ストップモーション」に出演し、「第2回京都映画祭」の特別上映作品として公開されています。

弟子と関連

生喬師匠には、笑福亭生寿（しょうふくてい せいじゅ）さんが弟子として入門し、師匠の芸を受け継いでいます。

師匠は、上方落語の名門である松鶴一門に連なる落語家であり、六代目笑福亭松喬師匠の下で学びました。師匠や一門とのつながりは、生喬師匠の芸の背景にある大切な要素です。

出没!ラクゴリラや松竹芸能の公式サイトで、師匠の最新情報や活動について知ることができます。

多才な趣味を持ち、料理上手としても親しまれる笑福亭生喬師匠。繁昌亭大賞受賞の実力に加え、温かい人柄で多くのファンを魅了し続けています。今後のさらなる活躍が期待される落語家の一人です。

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