笑福亭生寿

笑福亭生寿（しょうふくてい せいじゅ）は、1983年11月21日に生まれた上方落語家です。本名を絹谷亮介といい、上方落語協会に所属しています。師匠は七代目笑福亭生喬で、その門下として研鑽を積んでいます。

噺家としての道のりは、2007年2月15日に笑福亭生喬に弟子入りしたことから始まります。同年3月には「茶臼山でまるかじり」と題された自身の初舞台を踏み、古典落語の演目「犬の目」を披露して、噺家としての一歩を踏み出しました。

彼の人物像を語る上で欠かせないのは、宝塚歌劇団への熱烈な愛情です。年に一度、大阪の天満天神繁昌亭で自ら企画・出演する落語会「花詩歌タカラヅカ」は、彼の宝塚愛が凝縮された特別な公演となっています。この会では、「高原らな」という名の娘役トップスターに扮し、宝塚の実際の演目を、その台本に忠実に従って再現します。歌や踊りについても、並々ならぬ研究心をもって細部までこだわり抜いており、その完成度は観る者を驚かせます。さらに、宝塚の要素を古典落語に取り入れるという独自の試みも行っており、「天王寺詣り」や「蔵丁稚」、「寿限無」といったおなじみの演目を、華やかなタカラヅカ風にアレンジして演じることで、新たな落語の可能性を追求しています。

また、落語以外にも、将棋や麻雀といった趣味を深く愛好しています。特に将棋においては、その造詣の深さが知られています。尊敬する棋士として、木村一基九段の名前を挙げており、自身のサインに書き添える「冬夏青青（とうかせいせい）」という言葉は、木村九段が揮毫する際に用いる言葉に由来しています。これは、夏も冬も変わらず青々としている松のように、どんな時も信念を貫くという意味が込められており、木村九段への敬意と自身の姿勢を示すものと言えます。また、年齢が比較的近い棋士である渡辺明九段も応援しており、自身のYouTubeチャンネルで配信している酒飲み番組「リアルらくだ」の背景には、この二人の尊敬する棋士のサイン入り扇子が飾られています。これは、彼の将棋に対する真摯な思いを示すエピソードの一つです。

多才な一面を持つ一方で、落語家としての実力も高く評価されています。特に2022年8月には、上方落語界の若手噺家にとって最も重要な登竜門の一つとされる「第8回上方落語若手噺家グランプリ2022」において、見事優勝を果たしました。この受賞は、彼が次世代の上方落語を担う存在として、確かな実力を持っていることの証となりました。

宝塚や将棋といった自身の世界観を落語に取り入れつつ、古典落語にも真摯に向き合う笑福亭生寿。そのユニークなスタイルと確かな実力で、今後の上方落語界においてさらなる活躍が期待される噺家です。

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