第一号球

第一号球と第二号球について

概要

第一号球（だいいちごうきゅう）は、大日本帝国陸軍の要請のもと、1870年代に大日本帝国海軍によって試作された繋留ガス気球です。この気球は、日本製として初めて有人飛行に成功したことから、日本製航空機の先駆けとされています。また、その後に試作された第二号球についても重要な役割を果たしました。

第一号球の誕生

1877年、明治10年になると、西南戦争の影響で陸軍が敵の情報を収集するために偵察用軽気球の導入を計画しました。陸軍は、当時の知識不足を補うため、海軍に対して気球製造の支援を依頼しました。これを受けて海軍省は、兵学校に対し軽気球の製作を指示しました。

製作過程

このプロジェクトは、麻生武平大機関士を主任として、数名の補佐と共に進行しました。初めは実物の1/150スケールの模型気球を2個製作し、充填ガスに関する検証を行った後、本物の気球の作成に着手しました。1887年5月14日に完成した第一号球は、特別に作られた気嚢と吊籠、麻縄の繋留索で構成されていました。

昇騰試験

第一次昇騰試験は5月21日に行われ、海軍省川向練兵場で数千人の見物客が見守る中、皆の注目を集めました。実際の飛行には馬場小機関士を含む6名が挑戦し、最大で約200メートルの高度に達しました。この成功は、自国製気球の有人飛行の先駆けとして、歴史的な一歩とされました。再試行は5月23日に陸軍省会同の下で行われました。

第二号球の試作

第一号球の成功を受けて、陸軍は新たなガスを利用して第二号球を作成することにしました。当初の石炭ガスは戦地での運搬が難しいとの指摘を受け、水素ガスを使用することに決定しました。水素ガス製造機および第二号球の本体は、6月20日に完成しましたが、西南戦争が官軍に有利に進展したことから、実戦投入は見送られることになりました。

最後の試揚

1877年11月7日、明治天皇が視察する中、第一号球と第二号球の試揚が行われました。しかし、第一号球は劣化により破損し、二号球は強風で繋留索が切断され、その結果として両者は使用されない運命をたどりました。第二号球は11月8日に千葉県沖で発見されました。

他の気球の試作

西南戦争の最中、陸軍士官学校や工部大学校にも気球製作が命じられ、1977年に陸軍士官学校の球状気球が有人飛行に成功しました。また、工部大学校でも模型気球の飛揚試験が実施されるなど、国内の気球技術が急速に進展していきました。このように、第一号球と第二号球を通じて、日本の航空技術の発展が促され、気球製造技術の基礎が築かれたと言えるでしょう。

もう一度検索