第一次イタリア戦争

第一次イタリア戦争

第一次イタリア戦争は、15世紀末にフランス王シャルル8世がイタリア半島を侵攻した戦争です。当時、イタリア半島はローディの和によって比較的安定した状態にありましたが、フランス王国の台頭と、イタリア諸侯間の複雑な思惑が絡み合い、この戦争が勃発しました。

背景

1489年、ナポリ王フェルディナンド1世が教皇インノケンティウス8世によって破門されます。教皇は、ナポリ王家の縁者であったフランス王シャルル8世にナポリ王位を推薦しました。しかし、1492年にナポリ王家と教会の間で和解が成立し、この話は立ち消えとなります。1494年、フェルディナンド1世が亡くなると、シャルル8世は不満を抱き、ナポリ王位を要求し続けました。

同時期、ミラノ公国ではルドヴィーコ・スフォルツァが実権を握っていました。彼は、甥であるジャン・ガレアッツォ・スフォルツァの死後、ミラノ公位を継承しますが、ナポリ王国はこれに異議を唱えます。自身の失脚を恐れたルドヴィーコは、シャルル8世をイタリアに誘い込み、自らの領土の通行権を与えてしまいます。かねてより教皇アレクサンデル6世を嫌っていたシャルル8世は、教会の推薦を大義名分とし、ルドヴィーコの誘いに乗り、イタリア諸侯との戦いを宣言します。

フランスの侵攻

1494年10月、シャルル8世は2万5000の大軍を率いてイタリアに侵攻を開始します。まずミラノ公国に入り、その後フィレンツェ共和国へ進軍しました。フィレンツェでは、民衆が僭主を追放し、フランス軍の通行を許可しました。

1495年2月、フランス軍はナポリ王国に到達し、フェルディナンド2世と対峙します。ナポリ王家は抵抗虚しく主要拠点を失い、後退を余儀なくされました。シャルル8世はナポリを占領し、一部軍勢を本国へ帰還させましたが、自身はナポリに留まりました。

反仏同盟の結成と敗退

状況を静観していたヴェネツィア共和国は、反仏同盟の形成を進め、教皇アレクサンデル6世やナポリ王フェルディナンド2世、神聖ローマ帝国と連携を取り始めました。フェルディナンド2世は、親族であるスペイン王フェルナンド2世の助力を得て、ナポリ王国領を奪還します。フランス軍は慌てて北方へ退却しますが、ヴェネツィア軍、教皇軍、フィレンツェ軍、そして寝返ったルドヴィーコ・スフォルツァのミラノ軍によって包囲されてしまいます。

1495年3月31日、神聖同盟（ヴェネツィア同盟）が結成され、イタリア諸侯軍、スペイン王国、神聖ローマ帝国が結束してフランス軍を包囲しました。この同盟は、当時のヨーロッパでは珍しい大規模な対抗勢力でした。フランス軍は各地を逃げ惑いながら、ミラノ近郊で連合軍に捕捉され、フォルノーヴォの戦いで大敗を喫しました。シャルル8世は多くの戦利品を放棄して本国に逃げ帰ることになり、その威信は大きく失墜しました。

1498年、シャルル8世は雪辱を果たせないまま事故死し、第一次イタリア戦争は終結します。しかし、この戦争は、イタリア諸侯間の支配権を巡る争いを激化させ、以降、イタリア戦争が継続することになります。

参考文献

* Phillips, Charles and Alan Axelrod. Encyclopedia of Wars. New York: Facts on File, 2005. ISBN 0-8160-2851-6.

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