第七六二海軍航空隊

第七六二海軍航空隊の概要

第七六二海軍航空隊（だい762かいぐんこうくうたい）は、日本海軍における重要な航空部隊です。主に第二次世界大戦終盤、フィリピン、台湾、沖縄の防衛任務に従事し、特に哨戒、爆撃、雷撃の役割を果たしました。通称は「輝」部隊とも呼ばれ、また「T攻撃部隊」としてもその機能を果たしました。

沿革

T攻撃部隊の創設

1943年、戦局が厳しさを増す中、第一航空艦隊が再編成される過程で、多くの海軍航空隊が新たに編成されました。七六二海軍航空隊もその一部として、1944年2月に原隊を新竹航空基地において設立され、第一航空艦隊の第六十二航空戦隊に組み込まれました。2月19日には陸軍飛行第98戦隊が編入され、雷撃教育を継続しながら作戦を進めました。

しかし、戦局の悪化に伴い、5月5日には連合艦隊に引き抜かれ、訓練に重きを置く時期が続きました。6月15日には第二航空艦隊に再編成され、721空に編入されました。あ号作戦の失敗を受けて、フィリピン戦線への投入を目指し、再編成が進められましたが、器材調達や搭乗員養成の遅延が問題となりました。日本の航空機は、敵のレーダーによって事前に探知され、対空砲火による厳しい攻撃を受ける状況にありました。

T攻撃部隊の意義

航空戦の力を回復するため、日本は敵の意表を突く施策が必要でした。そこで、源田実中佐により台風を利用したT攻撃部隊の構想が提案されました。「T」とは、台風の頭文字とされており、夜間や悪天候での攻撃を重視する作戦となりました。部隊編成や運用法が軍令部によって指示され、新しい機材や兵器の優先順位が設定されました。

T攻撃部隊は、台風を利用した攻撃を主眼とし、熟練搭乗員を中心に若い搭乗員を加えた編成が行われました。特殊な気象観測班も編成され、通信設備の強化が求められました。これにより、台風が接近する際に攻撃の機会を得ようとしました。1944年7月23日、T攻撃部隊の演習が行われ、目標はエセックス級空母10隻の撃沈とされました。

実戦投入とその運用

1944年8月21日、T攻撃部隊が正式に編成され、指揮官や参謀が任命されました。その後、教育映画の制作も進められ、搭乗員への気象情報の理解を深める取り組みが行われました。ただし、実際の戦力には遅延が見られ、また、T攻撃部隊の成立を疑問視する声も上がりました。

1944年10月、T攻撃部隊は台湾沖の戦いに投入されましたが、多くの部隊が消耗し、多大な損害を被る結果となりました。特に、夜間攻撃は困難を極め、作戦遂行には多くの問題が発生しました。最終的に、T攻撃部隊は厳しい環境下にある中で、艦隊における攻撃役割を果たしつつも、戦局の流れや人的資源の限界に苦しみました。

特攻作戦への転換

1944年12月、T攻撃部隊は特攻部隊編成へと転換し、依然として航空戦力の一翼を担いました。沖縄の地上戦に備え、攻撃と防衛に従事しながらも、戦局の変化に対応するため再編が行われました。最後に、大戦の結末を迎える中、T攻撃部隊の名称は次第に使われなくなりましたが、その活動や貢献は日本海軍の歴史において重要な一章として記憶されています。

主力機種

• - 紫電
• - 一式陸上攻撃機
• - 銀河
• - 天山
• - 彗星

歴代司令

• - 柴田文三 大佐: 昭和19年2月15日 -
• - 田中義雄: 昭和19年7月10日 -
• - 久野修三: 昭和19年9月15日 - 戦後解隊

参考文献

• - 『日本海軍編制事典』 芙蓉書房出版、2003年。
• - 『航空隊戦史』 新人物往来社、2001年。
• - 『日本海軍航空史2』 時事通信社、1969年。
• - 防衛研修所戦史室『海軍航空概史』朝雲新聞社〈戦史叢書〉、1976年。
• - 同上『海軍捷号作戦（1）』、1970年。
• - 同上『沖縄方面海軍作戦』、1973年。

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