第三五二海軍航空隊

第三五二海軍航空隊について

第三五二海軍航空隊は、日本海軍の重要な航空部隊として、太平洋戦争の終盤において本土防衛に尽力しました。この部隊は九州上空での迎撃や戦闘活動に従事し、「草薙部隊」としても知られています。

沿革

この航空隊は、中国大陸からの連合軍の空襲に備えて設立されました。特に八幡製鉄所を狙う連合軍機に対抗するために、九州に戦闘部隊が置かれることになりました。当初、本土防衛は陸軍の役割とされ、特に九州地域は太刀洗基地があったことから陸軍が強く抵抗したものの、1944年の夏に陸海軍の調整がつき、大村飛行場を拠点とした戦闘航空隊の設置が実現しました。

1944年の活動

1944年8月1日、大村飛行場で第三五二海軍航空隊は正式に設立され、佐世保鎮守府に属しました。初期の戦力は、局地戦闘機48機と夜間戦闘機12機でしたが、実際には30機の零式艦上戦闘機と約3機の月光で構成されていました。

その後、8月10日には長崎市にB-29が襲来し、月光で迎撃しましたが戦果は上がりませんでした。続く8月20日には、八幡市が攻撃を受け、陸軍第12飛行師団と協力して迎撃しましたが、結果として1機の撃墜と14機の損失がありました。9月には新たに雷電が4機追加され、続いて10月には月光や追加の雷電が加わりました。

10月25日には、連合でB-29の襲撃に対応し、1機を撃墜しましたが、6機を喪失する結果となりました。このように、第三五二海軍航空隊は西九州方面の防空戦に従事し続けました。

1945年の状況

1945年1月には月光が1機追加され、夜間戦闘では戊型彗星が主に使われるようになりました。2月10日には第五航空艦隊が新編され、その傘下に組み込まれることとなります。その後も様々な作戦に参加し、3月26日には「天一号作戦」が発動されました。

しかし、空襲の激化に伴い、支援が難しくなり、4月には実質的な防空力が失われていきました。最終的に、5月16日には雷電の部隊が消耗し解散、その後も防空任務を続けましたが、7月にはB-29の襲来を受け、さらなる被害を受けることとなりました。

7月26日には大牟田市が攻撃され、本隊は迎撃を行いましたが、戦果は挙げられませんでした。戦局が厳しさを増す中、第三五二航空隊は最終的に機体や燃料、弾薬が底を尽き、機能できなくなりました。

終戦後

終戦後、武装解除が行われ、部隊も解散しました。連合軍の爆撃は続きましたが、海軍航空隊にはもうその対抗策が残されていませんでした。

主力機種

• - 零式艦上戦闘機: 初期に実戦で使用された機体
• - 雷電: 中期の主力機として活用された
• - 月光: 主に夜間戦闘に用いられた
• - 彗星: 月光の補完機として使用された

歴代司令

• - 寺崎隆治 大佐: 昭和19年8月1日 ～ 昭和20年1月1日
• - 柴田文三 大佐: 昭和20年1月1日 ～ 昭和20年5月5日
• - 柴田文三 大佐: 昭和20年5月5日 ～ 昭和20年6月15日
• - 蓑輪三九馬 中佐: 昭和20年6月15日 ～ 昭和20年6月27日
• - 源田實 大佐: 昭和20年6月27日 ～ 昭和20年7月8日
• - 山田龍人 大佐: 昭和20年7月8日 ～ 昭和20年10月10日

参考文献

• - 『日本海軍編制事典』（芙蓉書房出版　2003年）
• - 『航空隊戦史』（新人物往来社　2001年）
• - 『日本海軍航空史2』（時事通信社　1969年）
• - 『戦史叢書　海軍航空概史』（朝雲新聞社　1976年）
• - 『戦史叢書　本土方面海軍作戦』（朝雲新聞社　1975年）
• - 『航空戦史雑想ノート』（個人ブログ）
• - 『連合艦隊海空戦戦闘詳報別巻1』（アテネ書房　1996年）

関連項目

• - 大日本帝国海軍航空隊一覧

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