第三次世界大戦 (テレビドラマ)

『第三次世界大戦』(1982年、NBC)は、冷戦時代の不安と恐怖を鮮烈に描いたテレビミニシリーズです。アラスカを舞台に、ソ連軍の侵攻と、アメリカ軍の必死の抵抗が描かれ、核戦争の危機が迫る緊迫感あふれるストーリーが展開します。

1987年冬、アメリカ合衆国はソ連への穀物輸出を規制します。報復措置として、ソ連軍は40名の空挺部隊をアラスカの石油パイプライン基地へ送り込みます。猛吹雪の中、レーダー基地はソ連のスパイによって機能停止。アメリカ軍は、訓練中の少人数の州兵部隊しか動かせない状況に陥ります。

装備に劣るアメリカ軍は、石油パイプライン基地を死守しようと必死に抵抗しますが、ソ連軍の猛攻の前に追い詰められていきます。一方、アメリカ大統領とソ連書記長はアイスランドで極秘会談を行い、事態の収拾を図ろうとします。しかし、平和的な解決が見えてきた矢先、ソ連書記長が暗殺され、強硬派が政権を掌握。石油パイプライン基地は陥落し、爆破されます。

物語は、核戦争の危機が迫る中、アメリカとソ連の平和な日常が対比的に描かれ、戦争の脅威を改めて突きつけます。この作品は、ソ連の侵攻を想定した『若き勇者たち』『ザ・デイ・アフター』『アメリカ』といった同時代の作品と同様に、冷戦終結間近の社会不安を反映しています。

監督は当初ボリス・セイガルが務めていましたが、撮影中のヘリコプター事故により急死。その後、デイヴィッド・グリーンが監督を引き継ぎました。アラスカでの撮影と宣伝されていましたが、実際はほとんどがセット撮影だったという裏話も残っています。日本での放送は、テレビ東京の『木曜洋画劇場』で3時間枠を使って一挙放送されました。オリジナルは200分ですが、ビデオ版は180分に短縮されています。

キャストには、デヴィッド・ソウル、ブライアン・キース、ロック・ハドソン、キャシー・リー・クロスビーなどが出演。特に、ロック・ハドソンの演技は、この作品の見どころの一つとなっています。また、ポール・スタンホープはエミー賞メイクアップ賞を受賞しました。ビデオ版は松竹ホームビデオより発売されました。

『第三次世界大戦』は、迫力ある戦闘シーンと、政治的駆け引き、そして核戦争の恐怖をリアルに描いた、冷戦時代の代表的な作品と言えるでしょう。少ない兵力で戦うアメリカ軍の必死の抵抗、ソ連軍の圧倒的な軍事力、そして核戦争の危機が迫る緊迫感など、視聴者を最後まで引き込む要素が満載です。核戦争の恐怖を改めて認識させられるとともに、冷戦時代の国際情勢を理解する上で重要な作品となっています。

この作品は、単なる戦争映画にとどまらず、冷戦時代の政治状況や、核兵器の脅威、そして人間の業を深くえぐる、重厚なドラマでもあります。そのため、現代においても、そのメッセージは色あせることなく、多くの人々に強い印象を与え続けるでしょう。歴史的な背景と、その時代の緊迫感を理解することで、より深く作品を楽しむことができるでしょう。

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