ザ・デイ・アフター

ザ・デイ・アフター (1983年のテレビ映画)

『ザ・デイ・アフター』（原題: The Day After）は、1983年にアメリカで製作されたテレビ映画であり、ABCネットワークによって放送され、記録的な高視聴率を記録しました。当時のレーガン政権下における軍備拡張競争という時代背景が、米ソ間の緊張を高めていた冷戦の深刻さを反映し、第三次世界大戦勃発という最悪のシナリオ、つまり核兵器が実際に使用される恐怖を描き出しています。

あらすじ

物語は、米ソ間の対立がエスカレートし、西ベルリン封鎖をきっかけに、東ドイツ国境でワルシャワ条約機構軍（WTO軍）が西ドイツに侵攻するところから始まります。これに対し、アメリカを中心とする北大西洋条約機構（NATO）軍は、核地雷などで応戦を試みます。しかし、ブリュッセルにあるNATO事務局がWTO軍の核攻撃により壊滅するという事態が発生します。

東欧での米ソ間の武力衝突が激化し、どちらが先に実行したかは定かではありませんが、ついに全面的な核戦争が勃発します。物語の舞台となるアメリカ中部のカンザスシティは、平和な都市でしたが、市内にあるミサイルサイロから東側陣営の都市に向けてICBMが発射され、同時にソ連からもミサイル攻撃を受けます。市民は着弾までのわずか30分という時間の中で、パニックに陥り、高速道路に殺到します。そしてまもなく、高高度での核爆発によって市の電子機器が全て破壊され、立て続けに数発のミサイルが着弾し、カンザスシティは米ソの多くの大都市と同様に、一瞬にして壊滅します。

その後、米ソ間で休戦協定が締結され、人類が即座に滅亡するという最悪の事態は免れました。しかし、本当の地獄は「その日の後（The Day After）」から始まります。核爆発による直接的な破壊から生き残った人々も、放射線障害という死の影から逃れることはできなかったのです。

反響

アメリカでは、1983年11月20日にABCテレビで放映され、ニールセンの調査によると、推定で3855万世帯、1億23万人が視聴しました（全米での視聴率46.0%、占拠率70%。特に視聴率の高いデトロイトでは視聴率59.0%、占拠率75%）。この映画は、核戦争の恐怖に対する強烈な衝撃を与えましたが、同時に政治的なメッセージが強すぎるとの批判も上がりました。また、バスタブに浸かっている女性の遺体など、衝撃的な映像が含まれていましたが、広島・長崎の被爆者とは異なり、焼け爛れた遺体は描かれていません。これは、テレビ局側の自主規制によるものとされています。

『ザ・デイ・アフター』は、エミー賞の12部門にノミネートされ、2部門で受賞しました。また、作品自体も高く評価され、プライムタイム・エミー賞の作品賞（テレビ映画部門）にノミネートされています。

日本では、1983年11月26日にNHKの『土曜リポート』で、本番組とその直後に行われた討論会の一部が紹介されました（ニールセン調べ・関東地区での視聴率は7.2%）。その後、アメリカでのテレビ放送から約1か月後の1984年1月に松竹富士系列で劇場公開されましたが、興行的な成功は収められませんでした。しかし、その約9か月後の同年10月21日に、テレビ朝日の『日曜洋画劇場』で当時としては異例の早期放映が行われ、30.0%という高視聴率を記録しました（2011年11月現在、同枠における『スーパーマン』『エマニエル夫人』に次ぐ歴代視聴率第3位）。さらにその約9か月後の1985年8月11日には、同枠で再放映されています。

スタッフ

監督：ニコラス・メイヤー

キャスト

オークス博士：ジェイソン・ロバーズ（吹替：西村晃）
ジム：ジョン・カラム（吹替：小林勝彦）
スティーヴン：スティーヴ・グッテンバーグ（吹替：村山明）
ヘレン：ジョーガン・ジョンソン（吹替：中西妙子）
マッコイ：ウィリアム・アレン・ヤング（吹替：銀河万丈）
ハチヤ博士：カルヴィン・ファン（吹替：津嘉山正種）
ハクスレー：ジョン・リスゴー（吹替：池田勝）
イヴ：ビビ・ベッシュ（吹替：沢田敏子）
ナンシー：ジョベス・ウィリアムズ（吹替：弥永和子）

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