第三義勇飛行艇

第三義勇飛行艇（第三義勇号飛行艇）

第三義勇飛行艇、または第三義勇号飛行艇は、1926年に日本の海防義会によって大日本帝国海軍向けに開発された実験用の飛行艇です。機体の製作は川崎造船所飛行機部によって行われ、社内名称は「KDN-2」と呼ばれていました。この飛行艇の開発は、先代のKB型飛行艇の墜落事故を踏まえたものであり、新たに設計された大型全金属製の試作機となりました。

開発の経緯

1926年9月、海防義会は新しい型の飛行艇の設計に取り掛かるため、「全金属製飛行艇設計調査委員会」を設立しました。この委員会は、海軍および民間の専門家の協力のもと、徹底的な研究を行いました。設計の主担当は、引き続き横田成沽技師が務め、製造は1927年10月から始まりました。

試作の飛行艇は、1928年11月に完成し、神戸沖での約1か月間にわたって飛行試験が実施されました。海軍への引き渡し後も、木製および金属製のプロペラを用いた振動実験など、様々な実験が展開されました。

機体構造と性能

この飛行艇は全金属製で、高翼単葉のデザインが特徴です。エンジンには国産のBMW-6aを2基使用し、主翼の上部に串型に配置されています。全体的な性能は良好であり、設計時には、過去のKB型飛行艇や輸入されたドルニエ Do J、ロールバッハ飛行艇が参考にされました。当初、装備される予定だったのは金属製の2翅プロペラで、これを使用した際は良好な性能を発揮しました。

しかし、試験中に金属プロペラを搭載した別の機体が墜落する事故が発生したため、海軍は金属製プロペラの使用を禁止しました。本機も木製の2翅プロペラに換装されたため、エンジンナセル周辺からの振動が生じ、性能が低下しました。その影響で故障が頻発し、最終的には試験飛行ができない状況に追い込まれてしまいました。

終焉と後の活用

1931年5月、本機は広海軍工廠で解体され、その後、各部品は全金属製機の研究のための強度試験に利用されました。

主な諸元

• - 全長: 19.972 m
• - 全幅: 29.50 m
• - 全高: 5.272 m
• - 主翼面積: 141.0 m2
• - 自重: 5,400 kg
• - 全備重量: 8,600 kg
• - エンジン: 川崎 BMW-6a 水冷V型12気筒（750 hp） × 2
• - 最大速度: 200 km/h
• - 巡航速度: 170 km/h
• - 実用上昇限度: 4,500 m
• - 航続距離: 3,000 km
• - 武装: 7.7mm固定機銃 × 1、7.7mm旋回機銃 × 2、250kg爆弾 × 2
• - 乗員: 5 - 10名

第三義勇飛行艇は、日本の航空技術の発展に寄与した重要な試作機であり、その試行錯誤の中で多くの教訓が得られました。

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