海防義会

海防義会について

海防義会（かいぼうぎかい）は、1922年に帝国海事協会から資金を引き継ぎ、市民のボランティアによる財団として設立された組織です。東京の日比谷市政会館に事務所を構え、海防に関する様々な事業を展開してきました。設立当初、海防義会は大日本帝国の海防に寄与することを主要な目的として掲げ、最盛期には約9400名の会員を抱えていました。

組織の構成と活動

1923年3月には、伏見宮博恭王が総裁として迎えられ、5月には築地水交社で奉戴式が行われました。このように、高位の公家が指導的な役割を果たすことで、組織の権威を高めることを意図していました。海防義会の活動は多岐にわたり、主要には以下のようなものがありました。

1. 船舶および機器の製造と購入：軍用に適した船舶や機器の製造、あるいはその購入を進め、国の海防力を高めることに力を入れました。
2. 研究および調査：造船、造兵、機械製造、航海技術、航空、潜水技術など、海防に関連する専門的な研究や調査を実施し、これに関する著作も行いました。
3. 啓発活動：海防思想の普及を目指し、全社会に向けた啓発活動やそのための適切な施設の設立を促進しました。
4. 機関誌の発行：定期的に機関誌『海防』を発行し、会員に対する情報提供や海防に関する最新の知見を広めました。

これらの事業は、設立時に引き継がれた認可資金の収益を基に運営されました。この財源を用いて、海防義会は持続可能な活動を維持し、国の海防体制の整備に貢献しました。

組織の変遷

海防義会から分離した形で設立された帝国海事協会は、後に船級検査団体として日本海事協会に発展していきます。これは海上の安全性を確保するための重要な活動であり、海防義会の設立当初から存在していた海上の防御文明の一環として連携して発展していったとも言えます。

出版物

海防義会はその活動に関するさまざまな出版物も発行しており、その中には以下のようなものがあります。

• - 『昭和二年一月 海防義会一覧』（1927年1月発行）：会の活動内容や会員名簿を網羅した一覧です。
• - 『義勇財団海防義会の目的使命』（1927年3月発行）：海防義会が掲げる目的や使命を詳述した文書です。
• - 『義勇財団海防義会十五年史』（1938年発行）：設立から15年間の活動をまとめた記録書です。

関連情報

海防義会と関連する組織には、「海軍協会」や「国防献金」があり、これらはいずれも国防意識の向上や海上の安全確保に貢献していました。海防義会の設立当初から、こうした活動は日本の海防体制や国防の理念に深く根ざしていました。

海防義会は、設立から活動を通じて日本の海上防衛を強化し、国民の意識を高める重要な役割を担ってきました。

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