第九十一号哨戒特務艇

第九十一号哨戒特務艇

第九十一号哨戒特務艇（だいきゅうじゅういちごうしょうかいとくむてい）は、日本海軍が計画した未成特務艇、具体的には第一号型哨戒特務艇の39番艇です。戦時中の艦艇建造計画の一環として、特務艇の建設が進められましたが、最終的には完成を見ないまま終戦を迎えることとなります。

艇歴

本艇は、1944年11月5日に「第九十一号哨戒特務艇」と命名され、仮称艦名として「第2211号艦」が付けられました。これはマル戦計画の特務艇に属し、第2121号艦型の91番艇に位置づけられていました。計画当初、艦艇の本籍は舞鶴鎮守府に置かれる予定でした。

1945年4月2日には市川造船所にて進水しました。しかし、戦局が厳しさを増す中で、5月25日には特設敷設艇「高千穂丸」に曳航され、鳥羽まで移動することになります。残念ながら、終戦の時点では未完成状態であり、1945年8月17日には工事中止の命令が発令されました。この時点での船体工事の進行割合は95%に達していましたが、その後の進展は途絶えてしまいました。

戦後は市川造船所で繋留されていましたが、1947年2月1日には行動不能艦艇として扱われることが決定されました。更には同年11月22日、在東京アメリカ極東海軍司令部から本艇を漁船へ改造する許可が出されました。しかし、その後の詳細な動向については記録が残っておらず、明らかではありません。このように、歴史の波に翻弄されながら、未完成のままその運命を全うした艇でした。

参考文献

この艇に関する情報は、海軍省や復員庁の記録を基にしています。戦時中の艦艇に関する艦歴や詳細な計画については、さまざまな文献が参照されています。特に、福井静夫による「昭和軍艦概史」や、防衛研修所戦史室が編纂した「戦史叢書」が貴重な資料として用いられています。また、丸スペシャルの日本海軍艦艇シリーズや、世界の艦船誌にも関連情報が掲載されています。

このようにして、第九十一号哨戒特務艇の歴史は日本海軍の艦艇計画の一端を示すものとなっています。未成であったことが、この艇の歴史に一層の謎を加えています。

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