第一号型哨戒特務艇

第一号型哨戒特務艇

第一号型哨戒特務艇は、日本海軍が太平洋戦争中に開発した小型艦艇です。この艦艇は、当初の小型木造漁船を改造して使った特設哨戒艇の経験から、より効率的で実用的な設計が求められた結果生まれました。

計画の背景

1943年、日本海軍は小型漁船を多数徴用し、特設哨戒艇として洋上での監視活動に従事させていました。しかし、そのうち多くが被害を受け、性能も不十分であることが明らかになりました。そこで海軍は、自ら艦艇を建造することを決定し、木造の第一号型駆潜特務艇が基となって新型の建造を行うことになりました。1943年度から1944年度までの戦時艦船建造補充計画では、300隻の木材製哨戒特務艇乙が要求され、最終的に240隻の予算が承認されました。

建造工程

1944年から、国内の木造造船所16カ所で建造作業が進められましたが、最終的には57隻を起工し、27隻が竣工しました。艦艇建造が遅れた一因として、木材供給が不足していたためと考えられています。加えて、木材が十分に乾燥されていなかったため、竣工後に浸水や虫害が発生するなどの問題もありました。1945年には戦局がさらに厳しくなり、残りの建造は中止され、海防艇の建造に転換されました。

設計と仕様

第一号型哨戒特務艇は、木造漁船の設計を参考にしており、漁船としての特性を維持しつつ、必要な装備を加える工夫がなされました。船体構造には前部兵員室が設けられ、冷蔵庫や糧食庫が配置されています。機関としては、400馬力のディーゼルエンジンが搭載され、計画速力9ノットを目指しました。

兵装は、船首に機銃台、船尾に爆雷投下軌道が設けられ、電探も搭載される計画でした。しかし、実際には13号電探などの簡素な装備になりました。また、後部マストには風を利用した帆を設ける計画がありましたが、最終的には実現しませんでした。

使用と後の展開

1945年に第一号の艦艇が竣工しましたが、外洋での本格的な哨戒任務に就いた艇は少数に留まりました。終戦までに数隻が喪失し、木造船体の特性を生かして掃海作業にも従事しました。戦後には、掃海艇としての改装や、漁船への転用が許可され、いくつかの艇は海上保安庁や海上自衛隊に引き継がれました。

今でも、第一号型哨戒特務艇の存在とその役割は記憶されており、その多様な活躍が重視されています。

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