第二次ウィーン包囲

第二次ウィーン包囲の概要

第二次ウィーン包囲は、1683年にオスマン帝国によって引き起こされた大規模な軍事作戦であり、ヨーロッパにおけるオスマン帝国の進撃の最終局面を示しています。この攻撃はオーストリアの首都ウィーンを標的とし、帝国にとって重要な戦略的地点をつかむ試みとして捉えられました。しかし、オスマン軍は慎重さを欠いた攻勢をとり、結果的に長期にわたる包囲戦となりました。最終的に、オーストリアを支持する連合軍が包囲を突破し、オスマン帝国は壊滅的な敗北を喫します。

戦争の背景

オスマン帝国は17世紀に入ってから、内部の権力関係が悪化し、軍事的優位性が低下し始めました。これに対抗するべく、1656年に大宰相の地位に就いたキョプリュリュ・メフメト・パシャとその後継であるキョプリュリュ・アフメト・パシャは、周辺国との戦争を通じて拡張政策を推し進め、オスマン帝国の版図を拡大しました。しかし1676年にアフメト・パシャが亡くなると、カラ・ムスタファ・パシャが大宰相に任命され、彼もまた積極的な外交と軍事行動を緊急に求められました。

オーストリアは17世紀の三十年戦争を経て弱体化していましたが、フランスのルイ14世の圧力の下で依然として難しい立場にありました。オスマン帝国は、オーストリアが内部での反乱に直面している状況を巧みに利用し、1683年に大軍をもってウィーンを包囲する決断を下します。

ウィーン包囲戦の進行

1683年7月、オスマン軍はウィーンへと侵攻を開始しました。その規模はおよそ15万人とされ、1556年の第一次ウィーン包囲から150年ぶりとなる再占領の機会とカラ・ムスタファは考えました。ウィーンの防衛は神聖ローマ皇帝レオポルト1世によって指揮され、彼は都市を守るために守備隊の統率を取ります。

オスマン軍は7月13日にウィーンを包囲し、頻繁に攻撃を仕掛けましたが、ウィーンの防備は最新の技術を駆使しており、容易には打破できませんでした。続く数ヶ月間、包囲戦は長引き、オスマン軍は地下に坑道を掘って城壁を爆破しようと試みますが失敗に終わります。一方、ウィーンの守備軍も必死に抵抗し、時折攻撃に出るものの大きな戦果を上げることはできませんでした。

9月12日、連合軍として集結したポーランドやドイツ諸国の軍が到着し、再度攻撃を準備します。連合軍の指揮官ヤン3世は、オスマン軍の士気が低下していることを見抜き、9月12日の夜に総攻撃を決定しました。ポーランド軍の騎兵部隊がオスマン軍の本陣を急襲し、混乱に陥れた結果、オスマン軍は構成を崩して撤退を余儀なくされました。

戦後の展開

敗北したカラ・ムスタファは逃れつつ、ウィーン包囲の失敗を挽回しようと努めましたが、オスマン帝国の内部における権力争いが影を落とし、彼は後に処刑されました。この背景の下、オーストリア、ポーランド、ヴェネツィアらが神聖同盟を結成し、大トルコ戦争が開始されます。

この戦争は、オスマン帝国の領土を大幅に縮小し、様々な国が新たな領域を獲得する契機となりました。特に、1699年に結ばれたカルロヴィッツ条約では、オスマン帝国はオーストリアに多くの領土を割譲し、バルカン地域への影響力を失うこととなります。

第二次ウィーン包囲の意義

第二次ウィーン包囲はオスマン帝国がヨーロッパでの軍事的優位を完全に失ったことを象徴する出来事とされています。これによって、オーストリアとロシアがヨーロッパ東部における支配権を築くことが可能になり、その後の国際関係にも影響を与えました。さらに、この戦事はオスマン帝国に対するヨーロッパ諸国の脅威の意識を変えるきっかけとなり、それ以降の歴史においても重要な意味を持ちました。加えて、ウィーンのカフェ文化やベーカリー文化など、戦後には新たな文化の芽が生まれ、現代に至るまでの影響を与えています。

もう一度検索