第二次メッセニア戦争

第二次メッセニア戦争：スパルタとメッセニアの壮絶な戦い

紀元前685年から紀元前668年にかけて、スパルタとメッセニアの間で第二次メッセニア戦争が勃発しました。これは、第一次メッセニア戦争（紀元前724年終戦）でスパルタに敗れ、ヘイロータイ（スパルタの隷属民）となったメッセニア人による、スパルタ支配からの反乱でした。反乱の指導者であったアリストメネスの名から、アリストメネス戦争と呼ばれることもあります。

過酷な支配と反乱の勃発

第一次メッセニア戦争の後、メッセニア人はスパルタによる厳しい支配下に置かれ、過酷な労働を強いられました。この抑圧的な状況に耐えかねたメッセニア人は、自由と独立を取り戻すため、ついに反旗を翻したのです。紀元前685年、メッセニアの各地で反乱が同時多発的に勃発し、スパルタは予想外の事態に直面することになりました。

アリストメネスの活躍と初期のメッセニア優勢

反乱直後のデレスの戦いでは、両軍とも決定的な勝利を得られませんでした。しかし、この戦いで活躍したアリストメネスは、メッセニアの人々から王として推戴されました。アリストメネスは王位を辞退し、代わりに全権を掌握する将軍となり、反乱軍を指揮することになります。

続く猪塚の戦いでは、アリストメネス率いるメッセニア軍がスパルタ軍を打ち破り、勢いに乗ってスパルタ市近郊まで進撃しました。スパルタ王アナクサンドロスは待ち伏せ攻撃を試みましたが、逆にアリストメネスに敗北を喫します。初期の戦闘ではメッセニア軍が優勢を保ち、スパルタは危機的状況に陥りました。

戦況の逆転とヘイラ山の籠城

しかし、スパルタはアルカディア王アリストクラテス2世を買収し、メッセニア側に寝返っていたアルカディア軍を味方から引き離すことに成功しました。大掘割の戦いでは、アルカディア軍の離反とスパルタ軍の猛攻により、メッセニア軍は壊滅的な敗北を喫し、多くの指導者を失いました。この戦いを境に、戦況はスパルタ優位へと完全に傾いていきます。

敗走したメッセニア軍は、天然の要塞であるヘイラ山に退却し、籠城戦を展開しました。アリストメネスは遊撃戦を巧みに使い、スパルタ軍を苦しめ続けました。一時は捕虜となるも脱出を果たし、ヘイラ山での抵抗を続けました。メッセニア軍は10年間にわたってヘイラ山を死守しましたが、最終的にはスパルタ軍の猛攻の前に陥落。生き残ったメッセニア人はアルカディアなどに逃亡しました。

戦争の結果とスパルタへの影響

第二次メッセニア戦争は、スパルタの勝利に終わりました。メッセニア人は再びスパルタの支配下に置かれ、ヘイロータイとしての過酷な生活を強いられました。しかし、一部のメッセニア人はシケリア島に逃れ、メッサナ（現在のメッシーナ）を建設しました。アリストメネスはロドス島に亡命し、英雄として敬愛されながら生涯を終えました。

一方、スパルタはこの戦争を通じて、ヘイロータイの反乱という深刻な危機を経験しました。この経験から、スパルタは国民皆兵制を強化し、市民の生産活動への参加を制限する政策へと転換していきました。金属工芸技術で知られたスパルタでしたが、軍事国家としての体制をより強固なものにするため、経済活動の制限という道を選択したのです。第二次メッセニア戦争は、スパルタとメッセニア双方に大きな影響を与え、古代ギリシャの歴史に深く刻まれた出来事となりました。

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