第五共和国運動

第五共和国運動：ベネズエラの左翼政党

第五共和国運動（Movimiento V República, MVR）は、1997年にウゴ・チャベスによって設立されたベネズエラの左翼政党です。そのイデオロギーは、人道主義、社会主義、そして民族主義の要素を組み合わせたボリーバル主義に基づいています。シモン・ボリーバルの思想を基盤とするこの運動は、1998年以降、チャベス大統領の最大与党としてベネズエラの政治を牽引しました。

概要

第五共和国運動は、チャベスが1982年に軍内部の同志と秘密裏に結成した革命的ボリバリアーノ運動200（MBR-200）を前身としています。1992年、チャベスは当時のペレス大統領の新自由主義政策に反対し、武装蜂起を試みましたが失敗。チャベスを含む200名の将校が逮捕されました。この事件を機に、MBR-200はその存在を公にしました。チャベスの釈放後、合法的な政党活動へと移行しましたが、支持が急増し始めた1997年、ベネズエラで政党名に「ボリーバル」の名を冠することが禁止されたため、党名を第五共和国運動に変更しました。

チャベスが大統領選挙への立候補を表明すると、第五共和国運動は、社会主義運動（MAS）、みんなの祖国（PPT）、人民選挙運動（MEP）、ベネズエラ共産党（PCV）などと共に、「愛国極（Polo Patriótico）」と呼ばれる政党連合を結成しました。1998年11月の国会選挙で愛国極は第2党に躍進し、続く12月の大統領選挙ではチャベスが大差で当選を果たしました。

その後、副大統領を務めていたルイス・ミキレナが激務を理由に引退し、反政府派に転向。さらに、共闘相手であった社会主義運動がチャベス支持派と反対派に分裂し、反対派が愛国極から離脱するなど、党内および連合内で一部の離脱者が出ました。しかし、チャベス大統領の人気は依然として高く、政権を支え続けました。

第五共和国の意味

「第五共和国」という名称には、ベネズエラの歴史における5番目の共和政体という意味が込められています。ベネズエラでは、過去に四つの共和政体が存在しました。南米北部に存在した統一国家グラン・コロンビア（現在のベネズエラ、コロンビア、パナマ、エクアドル）の歴史において、カラカス市参事会による1811年から12年までをベネスエラ第一共和国（愚か者の共和国）、ボリーバルが再建した1813年-14年をベネスエラ第二共和国、ボリーバルが再び再建し、ベネズエラがグラン・コロンビアの一部となった1821年-30年をベネスエラ第三共和国と称していました。そして、グラン・コロンビアが瓦解してベネズエラが独立した1830年以来、チャベス当選まで続いた政治体制が「ベネスエラ第四共和国」とされていました。チャベスは、この政治体制を打倒し、ベネズエラ史上五代目の新しい政治体制を構築するという強い意志を持っていました。

解党とその後

2006年12月の大統領選で再選されたチャベス大統領は、与党各党を統合した新しい単一政党、ベネズエラ統一社会党（PSUV）の結成を発表しました。この発表に伴い、第五共和国運動もその役割を終えることとなりました。

関連項目

ウゴ・チャベス
ニコラス・マドゥロ
シモン・ボリーバル

外部リンク

Movimiento V República - La Democracia Patriótica

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