第五航空艦隊

第五航空艦隊の概要

第五航空艦隊（だいごこうくうかんたい）は、第二次世界大戦末期における日本海軍の航空艦隊の一つであり、特に特攻作戦を中心に展開された部隊です。本艦隊は、1945年2月9日に指示が出され、翌日の2月10日に正式に編成されました。これにより、九州地域や東シナ海、南西諸島に対する敵の攻撃に備えるための重要な航空戦力としての役割を担いました。

歴史的背景

設立時の日本は戦局が厳しく、特に連合国の攻勢が強まっていました。そこで軍令部は、既存の航空戦隊に新たに艦隊を加え、敵に対抗するための体制を整える必要があると判断しました。このような背景の中、第五航空艦隊が編成され、特攻作戦がその中心となることが決定されたのです。

艦隊の創設時、艦隊長官に就任したのは宇垣纏中将で、彼は部隊に特攻の精神を徹底させるよう訓示しました。特攻作戦は、日本の戦争指導層の意向を反映したものであり、これにより軍の戦略が大きく変化していったのです。

編成と指揮官

昭和20年2月10日に設立された第五航空艦隊には、以下のような部隊が直属として含まれました:

• - 九州海軍航空隊
• - 南西諸島海軍航空隊
• - 第二〇三海軍航空隊
• - 第七〇一海軍航空隊
• - 第七二一海軍航空隊
• - 第七六二海軍航空隊
• - 第八〇一海軍航空隊
• - 第一〇二二海軍航空隊

最初の司令長官は宇垣中将が就任し、彼は特攻作戦を推進する体制を整えました。宇垣中将の後任として草鹿龍之介中将が1945年8月17日から指揮を引き継ぎました。また、参謀長には横井俊之少将が任命されています。

特攻作戦の実施

第五航空艦隊の大きな特長は、その戦術が特攻を中心に設計されていた点です。当初は黙認されていた特攻が、この艦隊によって戦略として明文化され、実施されることになりました。特攻は日本海軍が当時採用していた、敵艦に全力で突撃するという危険かつ自殺的な作戦で、通常の戦闘からはかけ離れたものでした。この手法は、物資や人員が不足する中で、少ない資源を最大限に活用しようとする試みだったと言えるでしょう。

終焉とその影響

終戦に向かう中で、第五航空艦隊もまさに日本海軍の崩壊とともに消えていきました。特攻作戦は多大な人的犠牲を伴い、戦後においてもその評価には賛否が分かれています。安易な特攻の実施は、指揮官たちの責任を問う材料となり、海軍内部にも様々な議論を呼び起こしました。

このように、第五航空艦隊は日本海軍の歴史の中で特異な役割を果たした部隊であり、戦争の最晩年における一つの象徴ともなったのです。

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