第八号掃海艇 (3代)

第八号掃海艇（だいはちごうそうかいてい）

第八号掃海艇は、大日本帝国海軍によって運用された掃海艇の一隻です。その分類としては、第七号型掃海艇（三代目）の2番艇として計画・建造されました。掃海艇は、主に機雷が敷設された危険な海域において、機雷を排除して艦船が安全に航行できる経路を確保することを任務とする艦艇です。また、戦時においては、輸送船団を敵の攻撃から守る護衛任務にも広く投入されました。

建造から就役まで

本艇は、神奈川県横須賀市にある浦賀船渠で建造されました。1937年12月11日に起工され、およそ半年後の1938年4月15日には日本海軍の正式な掃海艇として類別を受けます。同年5月28日には進水式を迎え、艤装工事が進められました。約1年間にわたる建造期間を経て、1939年2月15日に竣工を果たしました。竣工と同時に、第八号掃海艇は佐世保鎮守府の所属となり、実戦部隊として活動を開始する準備が整いました。

戦時下の活動

日中戦争期：竣工後の1939年から1940年にかけての時期、第八号掃海艇は日中戦争の戦局下で活動しました。具体的には、中国大陸沿岸部、特に華南方面における作戦に参加したことが記録されています。この頃の任務は、沿岸部での機雷掃海や警戒任務、あるいは陸上部隊への支援などであったと考えられます。
太平洋戦争開戦と南方攻略：1941年6月1日、本艇は第三艦隊第一根拠地隊に編入され、南方方面への展開を準備します。そして、同年12月8日に太平洋戦争が開戦すると、緒戦の重要な作戦であるフィリピンのレガスピー攻略作戦に参加しました。これ以降、第八号掃海艇は南方資源地帯の確保を目指す日本軍の進攻作戦において、各地を転戦することとなります。メナド、ケンダリー、アンボン、マカッサル、クーパンといった要衝の攻略作戦では、危険が伴う海域での船団護衛任務に多数従事し、兵員や物資を運ぶ輸送船団の安全確保に貢献しました。初期の南方作戦の成功には、このような小型艦艇による地道な護衛活動が不可欠でした。
部隊再編と広範囲な任務：1942年3月10日には、第二南遣艦隊第二十一特別根拠地隊に編入されました。これは、広大な占領地となった南方地域の警備体制を再編成する動きに伴うものです。同年7月25日には、西部ニューギニア方面の攻略作戦にも加わっています。
掃海と護衛活動の継続：ニューギニア方面での作戦参加後も、第八号掃海艇の任務は続きます。トラック諸島やパラオ諸島といった中部太平洋の重要拠点と南方各地を結ぶ海上交通路において、引き続き船団護衛任務にあたりました。また、スラバヤ方面では、機雷掃海作業にも従事しました。戦局が悪化し、連合軍の潜水艦や航空機による海上交通路への脅威が増大する中で、掃海と護衛の任務はますます重要かつ危険なものとなっていきました。
* 整備と終盤の活動：長期にわたる苛烈な任務により、艇の維持・整備は欠かせませんでした。1944年8月25日から9月21日にかけて、第八号掃海艇はスラバヤに入渠し、本格的な整備を受けました。これにより、艇の機能を回復・維持し、その後の任務継続を可能にしました。整備完了後も、本艇はスラバヤ、アンボン、マカッサル、そしてボルネオ島北東岸など、東南アジア各地で船団護衛任務に奔走し、終戦まで第一線で活動を続けました。

艇長

第八号掃海艇の艤装員長および艇長には、北野亘少佐、関戸靖彦少佐、川橋秋文少佐、東恒次予備大尉、川島信予備大尉といった士官たちが着任し、その指揮を執りました。

最期

1945年8月に第二次世界大戦が終結した際、第八号掃海艇はスラバヤに停泊していました。戦後は連合国軍に接収されることとなります。1946年6月10日付けで日本海軍籍から正式に除籍されました。そして、終戦から約1年後の1946年7月10日、イギリス海軍の手により、シンガポールのケッペル湾外にて海没処分され、その波乱に満ちた生涯を閉じました。

日中戦争の初期から太平洋戦争の終結まで、第八号掃海艇は掃海、護衛、攻略支援と多岐にわたる任務に従事し、戦場の海を駆け巡った一隻でした。

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