第十とよた丸

第十とよた丸について

概要

第十とよた丸（だいじゅうとよたまる）は、1970年に日本の川崎汽船が運航を開始した自動車運搬船です。この船は日本初の外航自動車専用運搬船であり、自動車の輸出を効率的に行うために設計されました。

歴史的背景

1965年に日本の自動車輸出が増加し、日本産自動車の海外輸出が求められるようになりました。この頃、日産自動車の完成車を輸送するために建造された追浜丸が登場し、川崎汽船もこれに続いて自動車の効率的な輸送を行う必要性を認識しました。1970年代初頭、川崎汽船はトヨタ自動車販売と連携し、自動車専用船の構想を進めました。これにより、1968年から1970年にかけて第一とよた丸、第二とよた丸、第三とよた丸が建造されましたが、これらは兼用船として運航されていました。

その後、より効率的な運航が求められ、1970年に竣工した第十とよた丸が日本初のPCC（Pure Car Carrier）として、自動車専用の運搬船に生まれ変わりました。1970年7月に名古屋港からロサンゼルスへ向けての初航海を迎え、1958台のトヨタの完成車を積んで出発しました。

設計と構造

自動車運搬船としての特性を考慮し、第十とよた丸は様々な設計がなされています。積載する自動車の重量が比較的軽いため、水中側面積に対する水面上の風圧側面積が大きいことを考慮し、舵面積比を従来の1/45まで高め、ステアリングフィンを装備することで保針性を向上させました。特に停泊時の風圧対策としては、岸壁停泊時にホーサーを共有し、錨泊時にはバラストタンクで喫水を調整できるように設計されています。

船内は、「1番～4番船倉」と「第1～第9カーデッキ」で構成されており、主にトヨタの多様な車両が積載されています。例えば、第6カーデッキではランドクルーザーやハイエースなどの大きな車両を積むことが可能です。

自動車の積み下ろし方法にはRO-RO式が採用され、サイドポートを利用して船内の移動が行われます。特に、2番および3番船倉には両舷にサイドポートが設けられています。貨物の積み降ろしにあたっては、タラップを利用し、岸壁との効率的な接続が可能です。タラップは、幅3.2m、長さ17mのものが2本、8mのものが1本用意されています。

影響と評価

第十とよた丸は、自動車輸送の効率を高め、業界全体に大きな影響を与えました。その功績により、2019年には「第3回ふね遺産」に認定され、船舶史における重要な存在として評価されています。この船は日本の自動車輸出の発展に寄与し続け、今でも多くの人々に記憶されています。自動車専用船の設計や技術の進化に貢献した他の専用船の建造へもつながるきっかけとなりました。

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