第十一号海防艦

第十一号海防艦：激動の太平洋戦争を生き抜いた海防艦の軌跡

第十一号海防艦は、日本海軍が保有した海防艦の一隻です。第一号型海防艦（丙型）に分類され、マル戦計画に基づき建造されました。本艦は、1943年10月15日に三菱重工業神戸造船所で起工、同年12月22日に命名され、舞鶴鎮守府に所属することとなりました。1944年1月15日には進水し、3月15日に竣工。呉防備戦隊に編入後、基礎術力練成教育に励みました。

激化する戦場での護衛任務

竣工後、第十一号海防艦は第一海上護衛隊に編入され、数々の船団護衛任務に就きました。1944年4月から9月にかけて、シンガポールやマニラ、高雄などを往復し、敵潜水艦の脅威や空襲の危険と隣り合わせの毎日を過ごしました。

特に1944年8月以降のヒ71船団、ヒ72船団護衛任務は過酷を極めました。アメリカ潜水艦群の猛攻を受け、多くの船舶が被害を受ける中で、第十一号海防艦は遭難者の救助に全力を尽くしました。数多くの船舶や乗員の救助活動にあたり、千名にも及ぶ生存者を収容した記録も残っています。この間、幾度となく空襲や敵潜水艦の攻撃を受けながらも、その度に勇敢に任務を遂行し続けました。

多号作戦と悲劇の結末

1944年10月、第十一号海防艦は南西方面艦隊作戦指揮下に編入され、レイテ沖海戦の激戦地となったレイテ島への輸送作戦、多号作戦に参加しました。マニラで機銃増備工事をしていた際に空襲を受け、戦死者を出しました。その後も、オルモック湾への輸送作戦で、台風や空襲による困難な状況の中、約2,000名の陸兵の揚陸に成功します。しかし、その直後、湾口でアメリカ陸軍機の空襲を受け、500ポンド爆弾2発の直撃を受け、炎上し航行不能となりました。

最後はオルモック湾北部で座礁し、第13号海防艦の砲撃により処分されました。この戦闘で乗員88名もの尊い生命が失われ、海防艦長の長橋喜間太少佐以下59名が辛くも生還を果たしました。1945年1月10日、第十一号海防艦は帝国海防艦籍から除かれ、その短いながらも激動に満ちた生涯に幕を閉じました。

海防艦長と乗組員たちの献身

第十一号海防艦の艦歴を知る上で欠かせないのが、その艦長や乗組員たちの献身です。彼らは、危険と隣り合わせの状況の中でも、常に冷静さを保ち、任務を全うしようと勇敢に戦い続けました。数々の困難を乗り越え、多くの船舶や乗員の命を救った彼らの功績は、決して忘れてはならないものです。

参考文献

海軍省
呉防備戦隊戦時日誌
第一海上護衛隊戦時日誌
第一護衛艦隊戦時日誌
海軍公報
海軍辞令公報
海防艦顕彰会『海防艦戦記』
駒宮真七郎『戦時輸送船団史』
坂本正器/福川秀樹『日本海軍編制事典』
『新三菱神戸造船所五十年史』
世界の艦船 No. 507 増刊第45集 『日本海軍護衛艦艇史』
福井静夫『写真 日本海軍全艦艇史』
防衛研修所戦史室 戦史叢書 第46巻、第71巻、第88巻
丸スペシャル No. 28 日本海軍艦艇シリーズ『海防艦』
* 明治百年史叢書 第207巻『昭和造船史 第1巻（戦前・戦時編）』

これらの資料を元に、第十一号海防艦の艦歴を可能な限り詳細に記述しました。しかし、情報が断片的な部分もあり、完全な再現には至らなかった点をご理解ください。今後の研究で新たな情報が発見されることを期待しています。

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