第十六号掃海艇

第十六号掃海艇

日本海軍が運用した掃海艇の一隻、第十六号掃海艇（だいじゅうろくごうそうかいてい）は、同型艇である第十三号型掃海艇の四番艦として建造されました。掃海艇は、主に機雷の敷設や除去、あるいは沿岸域での哨戒や船団護衛といった任務に投入される比較的小型の艦艇です。

建造経緯

本艇の建造は、三井物産造船部玉工場にて行われました。1933年（昭和8年）6月20日に起工され、翌1934年（昭和9年）3月30日には無事進水。その後、最終的な艤装などを経て、1934年（昭和9年）9月29日に竣工を迎えました。竣工と同時に「第十六号掃海艇」と命名され、日本海軍の掃海艇として正式に類別登録されました。

艦歴

竣工後、第十六号掃海艇は直ちに各種任務に投入されました。日中戦争が勃発すると、1937年（昭和12年）から1939年（昭和14年）にかけて、主に華中および華北方面の作戦に参加しました。この時期、掃海艇は沿岸部や河川域における機雷掃海や上陸支援など、重要な役割を担いました。

太平洋戦争が始まると、本艇は南方侵攻作戦の一翼を担うこととなります。広大な戦域において、掃海任務はもちろんのこと、港湾や航路の安全確保、そして兵員や物資を輸送する船団の護衛といった多岐にわたる任務に投入されました。戦況が厳しさを増す中で、船団護衛の重要性は飛躍的に高まり、掃海艇もまた休む間もなく活動を続けました。

しかし、戦局が進むにつれて本艇の運命は定まります。1943年（昭和18年）9月11日、セレベス島のマカッサル港外にて、本艇は機雷に接触し、これにより沈没するという悲劇に見舞われました。竣工からわずか9年での喪失でした。この沈没を受け、約2ヶ月後の1943年（昭和18年）11月1日付けで、第十六号掃海艇は帝国海軍の艦艇リストから除籍されました。

歴代艇長

第十六号掃海艇の歴代の指揮官は以下の通りです。（※役職、氏名、階級、在任期間は公開資料に基づく）

艤装員長

大田 春男 大尉：1934年4月20日 -

艇長

大田 春男 大尉：1934年9月29日 - 1935年7月18日
池田 暎 大尉：1935年7月18日 - 1936年9月19日
岩橋 透 少佐：1936年9月19日 - 1938年3月26日
志村 正 大尉：1938年3月26日 - 1938年12月10日
笹田 兼雄 少佐：1938年12月10日 - 1939年11月15日
藤森 康男 少佐：1939年11月15日 - 1940年4月1日
村上 忠臣 大尉：1940年4月1日 - 1940年11月1日
古山 修郎 予備大尉：1940年11月1日 - 1941年9月10日
渡辺 芳郎 大尉：1941年9月10日 -

第十六号掃海艇は、竣工から沈没までの短い期間、日中戦争および太平洋戦争という激動の時代において、重要な任務を遂行し、その役目を終えました。

もう一度検索