第十号海防艦

第十号海防艦について

第十号海防艦は、日本海軍が建造した海防艦であり、第二号型海防艦（丁型）の5番艦として位置づけられます。この艦は、戦時中の輸送船団の護衛を主な任務としており、その短い艦歴の中で数多くの船団護衛作戦に参加しました。しかし、その活動期間は短く、最終的にはアメリカ潜水艦の攻撃により沈没しています。

艦歴

第十号海防艦の建造は、マル戦計画に基づき、1943年10月20日に三菱重工業長崎造船所で開始されました。当初は仮称艦名第2705号艦として計画されましたが、後に第十号海防艦と命名され、第二号型海防艦の5番艦として正式に登録されました。1944年1月11日に進水し、同年2月29日に竣工、佐世保鎮守府警備海防艦として呉防備戦隊に編入されました。

その後、第十号海防艦は第一海上護衛隊に編入され、船団護衛任務に従事しました。1944年4月にはヒ59船団の護衛としてシンガポールへ向かい、その後も各地を転戦しました。主な任務としては、マニラ、高雄、基隆、門司などの港を結ぶ輸送船団の護衛であり、これらの海域での警戒活動は、輸送船の安全確保に不可欠でした。

1944年8月には佐世保海軍工廠で修理を行い、その後も引き続き船団護衛任務を継続しました。9月には、マモ03船団の護衛中に、撃沈された輸送船の生存者を救助する活動にも参加。この際、豪軍の軍医大尉を含む157名を救助するという功績も残しています。

しかし、1944年9月27日、トカラ列島西方洋上にて、アメリカ潜水艦プライスの攻撃を受け、第十号海防艦は沈没しました。この攻撃により、艦長の一ノ瀬志朗大尉以下、乗員147名が戦死または行方不明となり、第十号海防艦はその短い生涯を終えました。同年11月10日、第十号海防艦は帝国海防艦籍から除籍されました。

主な任務と活動

船団護衛: 第十号海防艦は、主に輸送船団の護衛を担い、日本と東南アジア各地を結ぶ航路の安全確保に尽力しました。
対潜掃討: 船団護衛中には、潜水艦の脅威から船団を守るため、対潜掃討作戦にも参加しました。
遭難者救助: 撃沈された輸送船の生存者救助活動にも積極的に参加し、多くの命を救いました。

第十号海防艦の最期

第十号海防艦の最後は、アメリカ潜水艦の攻撃という形で訪れました。トカラ列島西方での攻撃により、乗員の大半が命を落とすという悲劇的な結末を迎えましたが、その短い艦歴の中で示した勇ましい姿は、戦時下の日本を支えた多くの海防艦の象徴として、記憶されるべきでしょう。

海防艦長

艤装員長: 一ノ瀬志朗 大尉（1944年1月30日 - 1944年2月29日）
* 海防艦長: 一ノ瀬志朗 大尉/少佐（1944年2月29日 - 1944年10月1日）

まとめ

第十号海防艦は、その短い艦歴の中で、戦時下の日本にとって重要な輸送船団の護衛という役割を担い、多くの困難に立ち向かいました。その最期は悲劇的でしたが、彼女の勇姿は、日本の海軍史に深く刻まれています。

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