第四インターナショナル日本支部 (ボルシェビキ・レーニン主義派)

武装蜂起準備委員会(AIPC)：日本の新左翼運動における一党派

1967年、第四インターナショナル日本支部（ボルシェビキ・レーニン主義派、以下BL派）から分裂した新左翼党派、武装蜂起準備委員会（AIPC）は、日本の高度経済成長期における学生運動において重要な役割を果たしました。AIPCは、当初ごく短期間、第四インターナショナル日本支部・BL派を名乗っていましたが、その後AIPCとして組織を確立しました。

理論と実践: AIPCの理論的指導者は太田竜でしたが、彼は実際には組織活動にほとんど関与しませんでした。トロツキズムを基盤とするAIPCは、「ベトナム革命勝利」と「反革命日共・民青打倒」を掲げ、活動拠点として法政大学や立命館大学などの大学を選びました。法政大学では、第一法学部自治会や二部教養部自治会などを中心に活動し、法政大学全共闘の最大会派として、1960年代後半からの学生運動を主導しました。

街頭闘争と連携: 街頭闘争においては、中央大学や明治大学を拠点とする社学同（ブント）全学連と連携し、合同行動をとることが多々ありました。そのため、一部からは、AIPCがブントの別動隊と見なされることもありました。全国全共闘にも参加し、激しい政治闘争を展開しました。

組織の衰退と終焉: しかし、70年代に入ると、太田竜が朝鮮人被爆者問題やアイヌ解放運動に傾倒し、民族主義的な傾向を強めたため、組織との関係は次第に希薄になりました。東大安田講堂攻防戦での多数の逮捕者なども影響し、組織は弱体化。70年代前半からは逮捕者救済活動が中心となり、その後自然消滅しました。

著名なメンバーと文世光事件: AIPCの高校生組織「高校生暴力革命戦線（暴革）」の関西地区リーダーであった文世光は、後に朴正熙大統領夫人狙撃事件に関与し、大きな注目を集めました。組織内では人望があり、戦闘的な性格と泰然自若とした振る舞いで知られていたと伝えられています。しかし、彼の行動や事件に至る経緯については、様々な憶測や疑問も残されています。

組織に関する誤解: BL派が70年代初頭に太田竜の処刑命令を出したという記述は事実誤認です。1967年以降BL派自体が事実上存在しておらず、また太田竜の組織内での影響力は軽微だったことから、そのような命令を出す理由も動機もありませんでした。

AIPCは、短命に終わったものの、日本の新左翼運動史において特異な位置を占める組織であり、その活動は当時の社会状況や学生運動の激しさ、複雑さを反映しています。彼らが掲げたスローガンや展開した闘争は、今日の社会を考える上で重要な歴史的資料として残されています。 AIPCの活動を知ることは、高度経済成長期から現代に至る日本の社会構造と政治的背景を理解する上で貴重な手がかりとなるでしょう。 また、文世光事件との関連性についても、その複雑な歴史的文脈を理解する上で不可欠な要素となっています。

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