第四次全国総合開発計画

第四次全国総合開発計画の概要

第四次全国総合開発計画（以下、四全総）は、1987年に制定され、日本の国土のあり方を見直すための重要な指針です。基本理念は「多極分散型国土の形成」であり、東京一極集中への対策として地方の活性化を目指しています。この計画は、1983年から始まった議論を経て、1986年に策定されました。目標は2000年頃を設定しており、多様な地域が相互に補完しあう国土を築くことが求められました。

1. 多極分散型国土の形成

この計画の中心にある「多極分散型国土」は、特定の地域に人口や経済機能が過度に集中することを避け、多様な地域がそれぞれの特性を持って発展することを目指しています。安全で豊かな国土の上に多様な機能を持つ極が形成され、地域間および国際間での交流が促進されます。これにより、経済や行政機能が均等に分散し、地方の活性化が図られることを期待していました。

2. 開発方式と交流ネットワーク構想

四全総では、目標を達成するための具体的な手段として「交流ネットワーク構想」が提案されました。これには３つの柱があり、地域の独自性を重視した整備、中核となる交通や情報通信ネットワークの形成、文化や経済活動の広域的な交流促進が含まれています。特に地域自らの活性化を重視し、それぞれの地域が持つ特性を活かすことが求められました。

3. 策定プロセスと背景

この計画策定の背景には、1980年代の東京一極集中にともなう地域の雇用問題や経済的不均衡がありました。特に1985年のプラザ合意により円高が進行し、地方の産業が困難な状況に直面していました。これに対して、国土審議会では地域間の格差を是正し、全体としての発展を促すための政策が求められました。

計画策定の具体的な過程では、様々な意見が交わされ、中でも東京一極集中に対する批判が高まりました。特に熊本県の知事は、都市集中を認めた内容に対して強く反発し、地方の活性化を求める声が大きくなりました。このように、四全総は地域間の不均衡を正すために策定されたものの、その中での東京の役割が正当化されることに対して地方からの懸念があります。

4. 計画の具体的な内容

計画の中で、地方圏の産業や技術の拠点形成、大規模農地の整備、国際交流拠点の形成など、具体的なプロジェクトが数多く提示されています。これにより、地方の活性化を図ることが目指されています。また、全国的な交通体系の整備も重要な柱として位置づけられており、高速道路や空港の新設などが計画されています。

5. 推進法と地域開発法の制定

四全総を実施するためには法律が必要であり、「多極分散型国土形成促進法」などの制定が進められました。これにより、国の行政機関の移転や地方振興が具体化し、多様な地域開発法が生まれました。例えば、リゾート法や頭脳立地法などがその一環です。これらの法律は、四全総の理念を実現するための基盤を提供しました。

6. 評価と課題

四全総は中曽根内閣の下で策定され、大都市問題への対応が図られましたが、結果として東京一極集中には歯止めがかかっていないという批判もあります。多極分散の理念が十分に実現されなかった背景には、地方からの交通基盤の整備に対する強い要望があった一方、交通の整備が高規格道路に偏ったことで公共交通機関の利用者が減少するという課題も出てきました。

結論

四全総は、日本の国土政策において重要な意味を持つものであり、地域間の発展を目指す努力を示していますが、実際の運用においては多くの課題が残されています。地方の発展を図るためには、こうした計画を実行するための新たな視点と施策が求められるでしょう。

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