第1回東京箱根間往復大学駅伝競走

四大校駅伝競走：第1回東京箱根間往復大学駅伝競走の概要

1920年2月14日から15日にかけて開催された東京箱根間往復大学駅伝競走（以下、箱根駅伝）は、日本の大学駅伝の草分け的存在であり、最初の大会が開催された年として特別な意味を持っています。箱根駅伝は、毎年多くの熱心なファンを惹きつける伝統的な行事で、大学対抗の長距離走大会として今もなお続いています。

実施日程

初回の駅伝は、往路が1920年2月14日13:00にスタートしました。出発地点は有楽町報知新聞社前で、経由地として鶴見、戸塚、平塚、小田原を経て、最終的には箱根関所址でゴールを迎えました。復路は翌日の2月15日に始まり、朝7:00に箱根関所址から出発し、再び小田原、平塚、戸塚、鶴見を経由して、最終的に有楽町報知新聞社前でゴールとなります。

大会の背景

1919年10月、ストックホルム・オリンピックのマラソン代表選手である金栗四三氏、東京高等師範学校の教授・野口源三郎氏、明治大学の沢田英一氏が中心となり、アメリカ大陸を横断する継走計画が提議されました。この計画を実行に移すため、関東の多数の大学や旧制専門学校に参加を呼びかけましたが、十分な人数の長距離選手を集めることができず、結果的に出場するのは東京高等師範学校（現：筑波大学）、明治大学、早稲田大学、慶應義塾大学の4校に限られました。現代においては、これらの大学は「オリジナル4」として知られています。

往路の流れ

初回の往路は、午前中に講義を終えた選手たちが集まり、13時にスタートしました。1区では東京高師が首位に立ち、続いて2区で明治大学が先頭に浮上、そのまま首位を維持しました。5区の選手である沢田英一がゴールテープを切り、往路優勝を遂げました。その結果、往路での順位は1位明大、2位東京高師、3位早大となり、4位の慶大はトップから大きく遅れをとり、花火の合図を受けながらゴールインしました。

復路の展開

復路は2月15日7時0分に始まりました。上位の3校は異なる時刻にスタートしましたが、4位の慶大は往路優勝校の明大から30分遅れでスタートしました。復路では明大が独走し、9区を終えた時点で後続に11分の差をつけるまでに至ります。しかし最終区となる10区で、東京高師の選手が逆転に成功し、ゴールまで到達。結果として、東京高師が合計タイム15時間05分16秒で総合優勝に輝きました。明治大学が2位、早稲田大学が3位、慶應義塾大学は4位となりました。

結果とその意義

東京高師と明治大学の間の時間差はわずか25秒であり、1971年第47回大会で記録されるまで、1位と2位の最小差として知られていました。また、東京高師は往路での8分27秒の差を逆転する劇的な展開を見せており、この逆転劇は100年以上経った現在でも最も大きな差の逆転として記録されています。

箱根駅伝の第1回大会は、その後の駅伝競走に多大な影響を与えることとなり、現在も続くこの伝統行事の基盤が築かれた瞬間でありました。

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