金栗四三

金栗 四三

金栗四三（かなくり しそう）は、1891年8月20日に熊本県に生まれ、1983年11月13日に逝去した日本のマラソン選手です。彼はオリンピックのマラソン競技に日本代表として参加した初の選手であり、その影響力から「日本マラソンの父」と称されています。彼の業績は、マラソン競技だけでなく日本におけるスポーツ全般に多大な寄与をしました。

生い立ちと学び

金栗は熊本県玉名郡の名家に生まれ、8人兄弟の中で7番目として育ちました。彼の名前は、父が誕生日当時43歳であったことに由来しています。幼少期はひ弱だったものの、10歳の頃に通学のために毎日12キロ走るという習慣が始まります。この「かけあし登校」が彼のマラソンの基礎を築くことになりました。彼はその後、玉名中学校を経て東京高等師範学校に進学し、常に成績優秀でした。

オリンピックへの道

1911年、金栗はストックホルムオリンピックに向けたマラソン予選に出場し、当時の世界記録を大幅に更新する成績を残しました。1912年のストックホルムオリンピック本大会では、日射病により途中棄権してしまいました。彼はレース後に、失敗を糧にして再挑戦することを誓い、その後も練習に励みました。

マラソンと教育

帰国後、金栗は「耐熱練習」や「耐寒訓練」を積み重ね、その中で自身だけでなく周囲のランナーたちも育てることに力を注ぎました。東京高師の研究科での研究を通じて、日本における長距離走の普及活動にも取り組み、多くの人々にマラソンの魅力を伝えていきました。1914年には地理の教師として教壇にも立ち、同時に選手としても活躍を続けました。

金栗はその後もオリンピックに出場し続け、1920年のアントワープ、1924年のパリ大会と代表選手として名を連ねます。しかし、どちらの大会でも思うような成績を残すことができず、特にパリ大会では32.3キロ地点で途中棄権となるなど、波瀾万丈のマラソン人生でした。

駅伝競走とマラソンシューズ

金栗はまた、駅伝の発展にも尽力し、箱根駅伝の発起人の一人としてその運営に携わりました。さらに、彼は自ら開発した「金栗足袋」が多くの選手に愛用されるなど、足袋の改良にも貢献しました。

晩年と顕彰

1945年、金栗は地元に帰り、マラソン普及に努めました。1953年にはボストン[[マラソン]]の日本選手団長として渡米し、山田敬蔵の優勝を支えました。1967年にはストックホルムオリンピックから55年後、オリンピック委員会に招待され、改めて「競技中に失踪」したことを称えられました。この出来事は、オリンピック史上最も長いマラソンの完走記録として認定され、金栗は大きな名誉を得ることになりました。

彼の足跡は、現代のマラソン界にも色濃く影響を及ぼしています。金栗の名は多くの大会や表彰で顕彰され、彼が築いた基盤は今なお多くの選手たちに受け継がれています。金栗四三の生涯は、スポーツの持つ力と人間の挑戦の象徴とも言えるでしょう。

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