第10代総選挙 (大韓民国)

第10代総選挙の概要

1978年12月12日に行われた第10代総選挙は、大韓民国の国会議員を選出するために実施された重要な選挙である。この選挙は、韓国の「総選挙」ではなく「総選」として数えられ、第四共和国時代の政治情勢を反映したものである。

背景

第9代国会の議員任期が満了する中で実施されたこの選挙は、政治的な変動を示す象徴ともなった。維新体制による統治が始まってから7年が経過したが、その体制に対する批判や不満が徐々に高まっており、特にアメリカでは人権問題が取り上げられていた。ジミー・カーター大統領が就任すると、韓国の人権弾圧に対して強い批判を展開した。このため、1976年に起きた明洞事件で逮捕された政治家たちの釈放要求が国際的に広がり、国内の抗議活動も活発化していく。

特に、学生運動や在野の運動が活発になり、1978年2月には第2の民主救国宣言が発表されるなど、国民の政治参加が求められるようになった。経済面では1977年に初めて貿易黒字を達成したものの、設備投資の過剰や物価高才、技術者不足などが影を落とし、経済成長は鈍化していった。こうした中での選挙は、維新体制への反発を強めるきっかけとなった。

基本データ

この総選挙では、議員の改選数は231議席で前回から12議席増加した。地域区選出議員154議席、大統領推薦議員77議席が設けられ、選挙制度は中選挙区単記投票制を採用した。投票日には77.1%の投票率を記録し、投票者数は1,502万3,370名であった。

選挙結果

選挙の結果は、与党の民主共和党が68議席、野党の新民党が61議席を獲得し、与党が第一党となった。しかし、得票率では新民党が共和党を僅かに上回り、32.8%を記録した。これは、国民が野党に対する支持を示し、維新体制に対する不満が強いことを意味していた。女性議員の比率は3.5%と低水準であり、政治参加の多様性が求められる課題が残された。

政治的影響

この選挙後、1979年3月には第10代国会が開院したが、その後すぐに経済危機が発生し、労働争議が頻発する状況となった。特に、同年8月のYH貿易事件を契機として、学生運動や市民運動が再び活発化し、政権と対立を深めた。この反維新闘争は、国会議員の除名事件を引き起こし、政権内にも対立が生まれた。

1979年10月26日の朴正熙大統領の暗殺は、この流れの中で発生した大きな事件であり、韓国政治における劇的な変化を象徴するものであった。その結果、新たな政治体制の構築が急がれる状況に入っていく。1980年には憲法改正が実施されることとなり、当時の国会が解散される結果となった。

まとめ

第10代総選挙は韓国の政治史における重要な転換点であり、国民の政治参加意識と維新体制に対する批判が明確に表れた選挙であった。これを契機に、さらなる政治的変革の動きが加速していくこととなる。

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