第118師団 (日本軍)

第118師団について

第118師団は、太平洋戦争末期に大日本帝国陸軍によって編成された師団の一つです。戦局の悪化に伴い、各地の戦線に兵力が投入される中で、中国における占領地の警備と治安維持を目的として、独立歩兵旅団を改編して設立されました。

編成の経緯

太平洋戦争の末期、日本軍は戦力不足に悩まされていました。華北に駐屯していた第26師団がフィリピン戦線へ、第62師団が沖縄へと転用されたため、その穴を埋める必要が生じました。そこで、中国各地に展開していた独立歩兵旅団を基幹として、新たに4個の師団（第114師団、第115師団、第117師団、第118師団）が編成されることになりました。

これらの師団は、1944年（昭和19年）7月10日に軍令陸甲第79号によって編成が発令されました。第118師団は、同年7月に山西省大同において、独立歩兵第9旅団を基幹として編成されました。編成後は駐蒙軍隷下に編入され、大同付近の警備に従事しました。

編制の特徴

第118師団は、4個の独立歩兵大隊からなる歩兵旅団を2個持つという編成でした。当初は砲兵隊を持たない丙師団でしたが、後に師団砲兵隊が所属しました。この編成は、占領地の治安維持を目的とした師団の特徴を示すものでした。

戦闘行動と終戦

1945年（昭和20年）4月、第118師団は上海方面の防衛強化のために第13軍の戦闘序列に編入され、華中に転進しました。同年8月9日にソ連が対日参戦すると、ソ連軍の侵攻を阻止するために北上を開始しました。しかし、8月15日に日本がポツダム宣言を受諾し終戦を迎えたため、張家口付近で戦闘を終えることとなりました。

師団の概要

歴代師団長

内田銀之助 中将：1944年（昭和19年）7月14日 - 終戦

参謀長

山口武三郎 大佐：1944年（昭和19年）7月14日 - 終戦

最終所属部隊

歩兵第89旅団：岡博明少将
独立歩兵第223大隊：士井政人少佐
独立歩兵第224大隊：米川忍大尉
独立歩兵第225大隊：山重太郎少佐
独立歩兵第226大隊：家森清少佐
歩兵第90旅団：福井浩太郎少将
独立歩兵第392大隊：山川有夫大尉
独立歩兵第401大隊：須藤清二少佐
独立歩兵第402大隊：春木屋幸市少佐
独立歩兵第403大隊：高橋鶴美大尉
第118師団砲兵隊：原欽平大尉
第118師団工兵隊：田中一博大尉
第118師団輜重隊：寅井徳郎少佐
第118師団通信隊：泉館留八少佐
第118師団野戦病院：榊原美喜男軍医少佐

まとめ

第118師団は、太平洋戦争末期の戦局悪化の中で、占領地の治安維持を目的として編成された師団です。独立歩兵旅団を基幹とし、編成後、華北で警備任務に就きました。戦局の変化に伴い、上海方面への転進やソ連軍の侵攻に対する北上を経験しましたが、終戦とともにその活動を終えました。

参考文献

外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

関連項目

大日本帝国陸軍師団一覧

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