第12回東京国際映画祭

第12回東京国際映画祭：1999年の映画の祭典

1999年、東京の渋谷を舞台に第12回東京国際映画祭が開催されました。9日間にわたるこの映画祭は、オーチャードホール、シアターコクーン、渋谷公会堂、渋谷ジョイシネマ（現・渋谷HUMAXシネマ）、渋谷エルミタージュ（現・渋谷TOEI 2）といった複数の会場を舞台に、世界中から集まった映画ファンを魅了しました。

輝きを放った『ダークネス＆ライト』

この年の東京国際映画祭最大の話題は、何と言ってもチャン・ツォーチ監督の『ダークネス＆ライト』（劇場公開題『最愛の夏』）の快挙でした。同作品は見事、東京グランプリ、東京ゴールド賞、そしてアジア映画賞という三冠を達成し、その年の映画祭を象徴する作品となりました。台湾映画の力強さを世界に示す、記念すべき受賞となりました。

才能が集う受賞者たち

『ダークネス＆ライト』の受賞に加え、数々の才能が表彰されました。審査員特別賞にはパク・ジョンウォン監督の『虹鱒』、最優秀監督賞にはマーサ・ファインズ（『オネーギン』、劇場公開題『オネーギンの恋文』）、最優秀女優賞にはマリア・ガリアナ（『アローン -ひとり-』、劇場公開題『ローサのぬくもり』）、最優秀男優賞にはカルロス・アルバレス＝ノボア（『アローン -ひとり-』）が輝きました。さらに、バフティヤル・フドイナザーロフ監督の『ルナ・パパ』は最優秀芸術貢献賞を受賞しました。

アジア映画賞では、『ダークネス＆ライト』に加え、三池崇史監督の『DEAD OR ALIVE 犯罪者』がスペシャル・メンションに選ばれ、日本映画の存在感も示しました。

国際的な視点を持つ審査員たち

コンペティション部門の審査委員長には、巨匠カレル・ライスが就任。マリルー・ディアス＝アバヤ、ペーター・オールベック・ヤンセン、フリオ・メデムといった国際的に著名な映画監督やプロデューサーに加え、日本の代表的女優である松坂慶子も審査員を務めました。多様な視点から作品が評価されたことは、この映画祭の大きな特徴と言えるでしょう。

アジア映画賞の審査は、崔洋一を委員長に、トニー・レインズ、ポール・イー、深津純子、平野博靖といった映画評論家、コーディネーター、ジャーナリストらが担当しました。

多彩な上映作品

コンペティション部門以外にも、アモス・ギタイ監督特集、アレクサンドル・ドヴジェンコ特集、ロベール・ブレッソン作品の上映など、多様なプログラムが組まれました。日本の現代映画を紹介する「ニッポン・シネマ・ナウ」、日本の巨匠たちの作品を振り返る「ニッポン・シネマ・マスターズ」といった企画も、観客の注目を集めました。さらに、特別招待作品の上映も予定され、充実した内容となりました。

記憶に残る映画祭

第12回東京国際映画祭は、『ダークネス＆ライト』の快挙や、国際色豊かな審査員、多彩な上映作品によって、多くの映画ファンにとって忘れられないイベントとなりました。この映画祭は、日本の映画界、ひいては世界映画界の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。 現在では、公式サイトやアーカイブサイトで当時の情報を確認することができますが、この映画祭の熱気や興奮を直接体験した人々にとって、それはかけがえのない思い出として胸に刻まれていることでしょう。

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