第134師団 (日本軍)

第134師団

第134師団は、1945年（昭和20年）7月に大日本帝国陸軍によって編成された師団の一つです。太平洋戦争末期、ソ連軍の侵攻が迫る満州（現在の中国東北部）において、急遽編成されました。この師団は、既存の部隊を基幹とし、現地で動員された兵士たちによって構成されました。

編成の背景

1945年、関東軍は南方戦線への兵力転用により戦力が大幅に低下していました。しかし、満州における防衛体制を維持するため、居留邦人や在郷軍人を「根こそぎ動員」し、中国戦線からも部隊を呼び戻すことで、約74万人の兵力をかき集めました。さらに、関東軍特種演習によって本土から輸送された戦車や航空機、火砲も残存していました。

しかし、急ごしらえの戦力には多くの問題がありました。兵員の半数以上が訓練不足であり、日ソ中立条約を前提としていた関東軍首脳部の混乱もありました。また、物質不足も深刻で、砲弾の備蓄は少なく、航空部隊の多くは実戦経験がありませんでした。さらに、小銃が行き渡らない兵士も10万人以上いたとされ、実質的な戦力は30万程度と推測されています。

このような状況下で、第134師団は第14国境守備隊、独立混成第78旅団、富錦駐屯隊などを基幹に、佳木斯で編成されました。

戦闘と終戦

1945年8月9日、ソ連軍が対日参戦を開始し、満州に侵攻しました。当時、第134師団は依蘭に位置しており、ソ連軍の松花江沿いの進撃に伴い、師団の主力は南に移動し、方正南方に陣を敷きました。富錦や佳木斯にあった部隊も戦闘を続けながら師団主力に合流しましたが、まもなく停戦となり、8月25日には武装解除となりました。

第134師団は、ソ連軍との本格的な戦闘を行うことなく終戦を迎えることとなりました。この師団は、同時期に編成された第135師団、第136師団、第137師団、第138師団、第139師団、第148師団、第149師団などと共に、急ごしらえで編成された師団の一つであり、戦局の悪化を象徴する存在と言えるでしょう。

師団概要

歴代師団長

井関仭 予備役中将：1945年7月16日 - 終戦

参謀長

末永光夫 大佐：1945年7月16日 - 終戦

最終司令部構成

参謀長：末永光夫大佐

最終所属部隊

歩兵第365連隊（満洲）：岩田勝清中佐
歩兵第366連隊（満洲）：石山年秀中佐
歩兵第367連隊（満洲）：東野謹三大佐
野砲兵第134連隊
工兵第134連隊
輜重兵第134連隊
第134師団挺進大隊
第134師団通信隊
第134師団兵器勤務隊
第134師団病馬廠
陸軍病院
関東第38（チャムス第1）：長谷川重一軍医中佐
関東第90（チャムス第2）：中野義雄軍医中佐
関東第91（興山）：園田佐武郎軍医中佐
関東第92（富錦）：河合武夫軍医中佐

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
『別冊歴史読本 戦記シリーズNo.32 太平洋戦争師団戦史』、新人物往来社、1996年。

関連項目

* 大日本帝国陸軍師団一覧

もう一度検索