第137師団 (日本軍)

第137師団の概要

第137師団は、1945年（昭和20年）7月に、大日本帝国陸軍の師団の一つとして編成されました。これは、太平洋戦争末期、戦局が逼迫する中で、満州方面の防衛力強化のために行われた「根こそぎ動員」の一環として創設されたものです。

編成と背景

1945年、関東軍は南方戦線への兵力転用により戦力が大きく低下していました。そこで、満州居留邦人や在郷軍人を動員し、中国戦線からの部隊を戻すことで、兵力をかき集めました。しかし、その大半は訓練不足で、装備も不十分であり、実際の戦力は名目上の数値を大きく下回っていたと言われています。第137師団も、このような状況下で、他の複数の師団と共に編成されました。

編成は、朝鮮の咸鏡北道羅南で開始されました。関東州警備隊司令官が師団司令部要員を召集し、その後、羅南師管区が第79師団からの転属者や在満召集者を加えて編成を進めました。しかし、兵器や人員は不足しており、8月初旬には、兵器が十分にないまま編成を完了させ、第34軍戦闘序列に編入されました。

師団の実態

第137師団の兵力は約1万人でしたが、幹部には老齢者や病弱者が多く、実戦経験のある将校は少なかったと言われています。下士官兵は質が良かったものの、小銃や軽機関銃などの軽装備が主体で、重火器や工兵資材、通信機などはほとんどありませんでした。さらに、終戦時の食糧はわずか2日分しかなく、物資不足は深刻でした。師団長には秋山中将が着任し、部隊の訓練を急ぎましたが、その状況は厳しかったと言えます。

戦闘準備と終戦

部隊は編成地で基礎訓練と陣地構築を行っていたものの、8月9日にソ連軍が満州に侵攻したため、咸興地区の防衛任務に就くこととなり、定平に移動しました。しかし、8月15日には終戦を迎え、秋山師団長は半島出身兵の召集を解除し、師団後方部隊の編成を中止しました。その後、部隊は定平、富坪地区へ集結することになりましたが、8月17日には師団長が自決するという悲劇が起こりました。その後、第17方面軍の直轄となり、師団主力は平壌に移動することになりました。

解散とその後

8月24日から28日にかけて、師団の主力は平壌でソ連軍によって武装解除されました。在満召集の将校の一部は満州へ戻り、大部分は三合里に収容された後、ソ連領へ移送され、シベリアに抑留されました。第137師団は、実戦を経験することなく解散し、その短い歴史を終えました。

歴代師団長

秋山義兌 予備役中将：1945年（昭和20年）7月16日 - 終戦

参謀長

三原七郎 大佐：1945年（昭和20年）7月26日 - 終戦

最終司令部構成

参謀長：三原七郎大佐

最終所属部隊

歩兵第374連隊（羅南）：竹林凡夫大佐
歩兵第375連隊（羅南）：船木健次郎大佐
歩兵第376連隊（会寧）：林信行大佐
野砲兵第137連隊（羅南）：大津山勝二少佐
工兵第137連隊（会寧）：岳村柾少佐
輜重兵第137連隊（羅南）：立間至少佐
第137師団挺進大隊（羅南）：北村忠光大尉
第137師団通信隊（羅南）：小原巌大尉

まとめ

第137師団は、太平洋戦争末期の混乱期に編成された師団であり、その活動期間は非常に短く、実戦を経験することなく終戦を迎えました。装備や訓練の不足、そして終戦による解散は、当時の日本軍の窮状を象徴する出来事と言えるでしょう。

参考資料

『戦史叢書73 関東軍（2） 『関特演・終戦時の対ソ戦』、防衛研修所戦史室（朝雲新聞社、1974年）
『十五年戦争極秘資料集15 朝鮮軍概要史』、宮田節子編・解説（不二出版、1987年）
『陸軍師団総覧』、近現代史編纂会・編（新人物往来社、2000年）
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

関連項目

大日本帝国陸軍師団一覧

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