第143師団 (日本軍)

第143師団について

第143師団は、1945年（昭和20年）1月20日に策定された帝国陸海軍作戦計画大綱に基づき、本土決戦に備えるために編成された54個師団の一つです。この師団は、第一次兵備として2月28日に編成が命じられた16個の沿岸配備師団の一つであり、差し迫った本土決戦に備え、急ピッチで組織されました。

編成の背景

太平洋戦争末期、戦局が悪化する中で、日本本土への連合軍の侵攻が現実味を帯びてきました。この状況下で、大日本帝国陸軍は本土防衛体制を強化する必要に迫られ、その一環として、多数の師団を新設しました。第143師団は、この時に編成された部隊の一つであり、沿岸部での防御を主任務としていました。

師団の構成

第143師団は、以下の部隊で構成されていました。

師団長：鈴木貞次 中将（1945年4月1日 - 終戦）
参謀長：広瀬誠治 大佐（1945年4月1日 - 終戦）

主要部隊

歩兵第409連隊（名古屋）：連隊長 丹羽篤郎大佐
歩兵第410連隊（静岡）：連隊長 松井利生大佐
歩兵第411連隊（岐阜）：連隊長 森本辨三郎大佐
歩兵第412連隊（津）：連隊長 笠原善修大佐

これらの歩兵連隊は、それぞれ名古屋、静岡、岐阜、津といった地域に駐屯し、それぞれの地域での防衛任務を担当しました。各連隊は、地域ごとの特性を考慮した上で、部隊の運用がなされました。

その他の部隊

第143師団速射砲隊
第143師団噴進砲隊
第143師団輜重隊
第143師団通信隊
第143師団兵器勤務隊
第143師団野戦病院

これらの部隊は、師団の作戦遂行を支援するために不可欠な存在でした。速射砲隊や噴進砲隊は、火力支援を、輜重隊は物資輸送を、通信隊は部隊間の連携を、兵器勤務隊は兵器の整備を、そして野戦病院は傷病兵の治療をそれぞれ担当しました。

終戦

第143師団は、本土決戦に備えて編成されましたが、実際の戦闘を経験することなく、終戦を迎えました。しかしながら、この師団の編成は、当時の日本の置かれていた状況と、本土決戦への危機感を示すものとして、歴史的に重要な意味を持っています。

参考文献

外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

関連項目

決号作戦 - 本土決戦の作戦。
第一次兵備 - 第二次兵備 - 第三次兵備：本土決戦に向けた師団編成の段階。
沿岸配備師団 - 機動打撃師団：本土防衛のために編成された師団の種類。
根こそぎ動員：戦時中の国民総動員体制。
* 大日本帝国陸軍師団一覧：大日本帝国陸軍の師団をまとめた一覧。

この項目では、第143師団の編成から終戦までの概要を詳細に記述しました。太平洋戦争末期、本土決戦に備えて急遽編成されたこの師団は、戦況の変化と終戦という歴史の流れの中で、その役割を終えました。

もう一度検索