第144師団 (日本軍)

第144師団

第144師団は、太平洋戦争末期の1945年（昭和20年）1月20日に策定された帝国陸海軍作戦計画大綱に基づき、本土決戦に備えるため急遽編成された54個師団の一つです。その中でも第一次兵備として、同年2月28日に編成された16個の沿岸配備師団に区分されます。この師団は、差し迫った決戦に備え、短期間で組織されたことが特徴です。

編成の背景

太平洋戦争末期、戦局の悪化に伴い、日本本土への連合国軍の侵攻が現実味を帯びてきました。このような状況下で、大日本帝国陸軍は本土決戦を想定し、戦力の増強を急務としました。その結果、多数の師団が新たに編成されることとなり、第144師団もその一つとして誕生しました。沿岸配備師団としての役割は、敵軍の上陸に際して、水際での迎撃を主任務とすることでした。

師団の概要

第144師団は、他の多くの急造師団と同様に、人員や装備が不足した状態で編成されました。しかし、本土防衛の重要な一翼を担う師団として、訓練と配備が急ピッチで進められました。この師団の編成は、当時の日本の切迫した状況を反映していると言えるでしょう。

歴代師団長

高野直満 中将：1945年（昭和20年）4月1日 - 終戦

高野直満中将は、師団長として終戦まで第144師団を指揮しました。師団の立ち上げから終戦までという、非常に困難な時期を担った人物です。

参謀長

鈴川健一 中佐：1945年（昭和20年）4月1日 - 終戦

鈴川健一中佐は、参謀長として師団長を補佐し、作戦立案や部隊の指揮を支援しました。師団の円滑な運営に貢献したと考えられます。

最終所属部隊

第144師団には、以下の部隊が所属していました。

歩兵第413連隊（大阪）：百瀬保大佐
歩兵第414連隊（和歌山）：松尾謙三大佐
歩兵第415連隊（大阪）：白石通世大佐
歩兵第416連隊（和歌山）：大野次郎大佐
第144師団砲兵隊
第144師団速射砲隊
第144師団輜重隊
第144師団通信隊
第144師団兵器勤務隊
第144師団野戦病院

これらの部隊は、歩兵連隊を主力とし、砲兵、通信、輜重、医療などの支援部隊で構成されていました。各連隊は、大阪や和歌山など、地元出身の兵士で構成され、地域に根ざした部隊運用が想定されていたと考えられます。

終戦とその後

第144師団は、本土決戦が行われることなく終戦を迎えたため、実際に戦闘に参加することはありませんでした。しかし、その存在は、当時の日本が置かれていた状況を如実に示しており、歴史を研究する上で重要な事例と言えるでしょう。

参考文献

外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

関連項目

決号作戦
第一次兵備 - 第二次兵備 - 第三次兵備
沿岸配備師団
機動打撃師団
根こそぎ動員
大日本帝国陸軍師団一覧

これらの関連項目も参照することで、第144師団の置かれていた状況や、当時の陸軍の作戦計画についてより深く理解することができます。

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