第15回社会人野球日本選手権大会

第15回社会人野球日本選手権大会 概要

1988年（昭和63年）の秋、社会人野球の頂点を決める第15回日本選手権大会が、10月24日から10月31日までの期間、大阪球場を舞台に開催されました。この年の大会は、いくつかの新たな顔ぶれと、歴史に残る記録、そして社会人野球界の新たな流れを感じさせる出来事が特徴的でした。

この第15回大会では、スリーボンド、東海理化、そして大阪ガスの3チームが初めて本戦の舞台に立ち、フレッシュな顔ぶれが大会に彩りを加えました。また、同年9月に韓国・ソウルで開催されたオリンピックに出場した日本代表チームのメンバーも数多く出場しており、世界の舞台を経験したトッププレーヤーたちの高いレベルのプレーが随所に見られました。

大会の大きな話題となったのが、この回から導入された指名打者（DH）制度です。この新制度も相まってか、バットから快音を放ち、次々とスタンドへボールが運ばれました。特筆すべきはその数です。全23試合という限られた試合数の中で、実に75本ものホームランが飛び交いました。これは、その後の大会フォーマット変更により試合数が増加した現在においても破られていない、驚異的な大会通算最多本塁打記録として、歴史に燦然と輝いています。

大会を制したのは、夏の都市対抗野球で優勝を飾っていた東芝でした。都市対抗での勢いをそのままに、この日本選手権でもその強さ、特に強力な打線を発揮。初戦からチーム全体のバッティングが好調を維持し、危なげなく勝ち進みました。そして迎えた決勝戦では、本田技研熊本と対戦。この一戦でも東芝打線が効果的に得点を重ね、見事勝利を収めました。東芝にとっては、この日本選手権が初の優勝となりました。

この優勝により、東芝は社会人野球史上初となる、同一年に都市対抗野球と日本選手権という二つの主要な全国タイトルを同時に獲得するという偉業を達成しました。これは、その年の社会人野球界における東芝の圧倒的な強さを証明する快挙と言えるでしょう。

最終日の10月31日に行われた決勝戦では、東芝が本田技研熊本を下し、初優勝を飾りました。東芝の菊池投手が勝利投手となり、本田技研熊本の内山投手が敗戦投手となりました。この試合では、東芝の高見選手が本塁打を放っています。

表彰選手・優秀選手

この大会で特に活躍した選手には、以下の表彰が与えられました。

最高殊勲選手賞: 南渕時高（内野手：東芝）
敢闘賞: 尾崎定己（投手：本田技研熊本）
打撃賞: 高見泰範（捕手：東芝）
首位打者賞: 田辺浩昭（外野手：東芝） 11打数7安打 打率.636

また、ポジションごとに選出された大会優秀選手は以下の通りです。

投手: 尾崎定己（本田技研熊本）、菊池総（東芝）、小椋茂夫（新日本製鐵堺）、三原昇（東芝）、幡谷正人（四国銀行）、池田宣人（新日本製鐵八幡）
捕手: 高見泰範（東芝）、上和秀（大阪ガス）
一塁手: 竹田満宗（本田技研熊本）、丹波健二（東芝）
二塁手: 坂本正（本田技研熊本）、畠山弘彰（東芝）
三塁手: 谷岡秀一（四国銀行）、葛城弘樹（東芝）
遊撃手: 薬師神一成（四国銀行）、南渕時高（東芝）
外野手: 梁原修次（東芝）、田中靖秀（四国銀行）、丸谷富美夫（新日本製鐵八幡）、鈴木慶裕（日本石油）、折原康伸（大阪ガス）、田辺浩昭（東芝）、内村徹（本田技研熊本）、森田建司（四国銀行）
指名打者: 徳永耕治（日本石油）、福本勝幸（東芝）

大会記録

この第15回大会では、数々の記録が生まれました。

大会通算最多本塁打: 75本 (全23試合) - 現在も破られていない記録です。
大会通算チーム最多本塁打: 16本 (四国銀行が4試合で記録)
1イニングチーム最多本塁打: 3本 (タイ記録、東芝が1回戦 対NTT四国戦で記録)
1試合最多安打: 35本 (1回戦 NTT中国 20本 - 東海理化 15本)
1イニングチーム最多三塁打: 2本 (タイ記録、日本石油が準決勝 対東芝戦で記録)
先発全員安打全員得点: 東芝が2回戦 対日本たばこ戦で達成しました。

第15回大会は、東芝の歴史的快挙達成と、記録的な本塁打数によって、社会人野球の歴史に深く刻まれる大会となりました。

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