第16回東京国際映画祭

第16回東京国際映画祭：2003年の映画祭を振り返る

2003年11月1日から9日間に渡り開催された第16回東京国際映画祭は、渋谷の複数の会場を舞台に、世界中から集まった映画ファンを魅了しました。Bunkamura、渋谷ジョイシネマ（現・渋谷HUMAXシネマ）、渋谷シネフロント、東京都写真美術館など、複数の映画館や施設が会場として使用され、国際的なイベントの熱気を帯びていました。

特に、クロージング作品に『ファインディング・ニモ』が選ばれたことに合わせ、オーチャードホール前には、従来のレッドカーペットではなく、海のイメージを表現したブルーカーペットが敷かれた演出は、記憶に残る演出となりました。

この映画祭は、単なる映画の上映にとどまらず、多様な企画が展開されました。協賛企画として、「東京コンテンツマーケット2003 秋」、「東京国際ファンタスティック映画祭2003」、「第16回東京国際女性映画祭」、「オーストラリア フィルム フォーカス2003」、「中平康レトロスペクティブ」、「フェデリコ・フェリーニ映画祭」、「コリアン・シネマ・ウィーク2003」、「勝新太郎映画祭」など、多様なジャンルの映画や映像作品を紹介するイベントが開催されました。これらの企画は、映画祭全体を盛り上げ、来場者に多様な選択肢を提供したと言えるでしょう。

また、この年から、作品選定の責任者を明確にするため、プログラミング・ディレクターが任命されました。コンペティション部門では吉田佳代氏が務めました。この体制強化によって、映画祭の質の向上に貢献したと言えるでしょう。

受賞結果：輝いた才能と作品

コンペティション部門では、以下の作品と人物が栄誉ある賞を受賞しました。

東京グランプリ

『暖 ∼ヌアン（原題）』（監督：フォ・ジェンチー、劇場公開題『故郷（ふるさと）の香り』）

審査員特別賞

『スーツ』（監督：バフティヤル・フドイナザーロフ）

優秀監督賞

クリス・ヴァレンティーン、ティル・テラー（『サンタ スモークス』）

優秀主演女優賞

寺島しのぶ（『ヴァイブレータ』）
クリスティ・ジーン・フルスランダー（『サンタ スモークス』）

優秀主演男優賞

香川照之（『暖 ∼ヌアン（原題）』、劇場公開題『故郷（ふるさと）の香り』）

優秀芸術貢献賞

* 『スーツ』（監督：バフティヤル・フドイナザーロフ）

アジア映画賞部門では、『メモリー・オブ・マーダー／殺人の追憶（原題）』（監督：ポン・ジュノ、劇場公開題『殺人の追憶』）がアジア映画賞を受賞しました。さらに、『復讐者に憐れみを』（監督：パク・チャヌク）と『世界でいちばん私をかわいがってくれたあの人が去った』（監督：マー・シャオイン（馬暁穎））がスペシャルメンションとして称えられました。

審査員：国際的な視点が集結

コンペティション部門の審査員には、コン・リー（審査委員長）、アーヴィン・カーシュナー、ペンエーグ・ラッタナルアーン、ヴァンサン・ルクール、一瀬隆重といった、国際的に著名な映画監督、俳優、プロデューサーらが名を連ねました。彼らの多様な視点が、受賞作品選考に大きく影響を与えたことは間違いありません。

アジアの風部門の審査員も、貞永方久（審査委員長）、ルーカス・シュワルツァハー、塩田明彦、ミルクマン斉藤、三原繁美といった、日本を代表する映画監督、評論家、ジャーナリストなどから構成され、多角的な視点からの評価が行われました。

上映作品：多様なジャンルの競演

映画祭では、コンペティション部門、特別招待作品、アジアの風部門、特別上映、ニッポン・シネマ・フォーラム（メディア・セレクション、リージョナル・フィルム、クラシック）、日本アニメーション特集、そして第2回東京国際CG映像祭と、実に多様なジャンルの映画や映像作品が上映されました。これらの作品は、映画祭の大きな魅力の一つであり、来場者に多くの感動を与えたことでしょう。

第16回東京国際映画祭は、国際的な映画作品の上映にとどまらず、多様な協賛企画や、著名な審査員による厳正な審査、そして幅広いジャンルの作品上映を通して、映画文化の発展に大きく貢献した、記憶に残る映画祭となりました。

もう一度検索