第16回社会人野球日本選手権大会

1989年（平成元年）10月19日から26日までの8日間、大阪球場にて、第16回社会人野球日本選手権大会が開催されました。秋の社会人野球日本一を決定するこの大会は、例年白熱した戦いが繰り広げられますが、この年も記憶に残る大会となりました。

大会の様相

今大会は、夏の都市対抗野球で優勝したプリンスホテルが地方予選で敗れるという波乱の幕開けとなりました。また、都市対抗準優勝の大昭和製紙北海道も本戦に出場したものの、2回戦で敗退するなど、夏の勢力図とは異なる展開を見せました。

初出場チームとして、北陸銀行、トヨタ自動車、新日本製鐵大分の3チームが顔を揃えました。中でもトヨタ自動車は本戦で1勝を挙げる健闘を見せました。さらに、西濃運輸が10年ぶりの本戦復帰を果たし、古豪の存在感を示しました。

住友金属、5度目の栄冠

激戦を制し、5年ぶり5回目の優勝を果たしたのは住友金属です。チームを牽引したのは、ルーキーながら驚異的な活躍を見せた尾山敦投手でした。尾山投手は連日の登板を厭わず、なんと4試合連続でマウンドに上がり、チームの勝利に貢献しました。この優勝により、住友金属は日本選手権決勝戦での連勝記録を「5」に伸ばしました。

決勝戦は、住友金属と日本石油の対戦となりました。住友金属が日本石油を下し、見事に頂点に立ちました。この試合の勝利投手は尾山敦、敗戦投手は日本石油の田口でした。

個人記録と表彰

今大会で特に活躍した選手には、以下の表彰が行われました。

最高殊勲選手賞: 尾山敦（投手：住友金属）
敢闘賞: 金沢健一（投手：日本石油）
打撃賞: 佐藤雄樹（内野手：住友金属）
首位打者賞: 佐藤雄樹（内野手：住友金属）- 19打数10安打、打率.526を記録。

また、大会を通じて特に優れた成績を残した選手たちが、大会優秀選手として選出されました。

投手: 尾山敦（住友金属）、金沢健一（日本石油）、木村恵二（日本生命）
捕手: 高柳靖法（日本石油）、樋野徹（住友金属）
一塁手: 徳永耕治（日本石油）、佐藤雄樹（住友金属）
二塁手: 平田望（日本石油）、十河章浩（日本生命）、菅沢剛（熊谷組）
三塁手: 若林重喜（日本石油）、中西亮介（大阪ガス）
遊撃手: 久慈照嘉（日本石油）、北口和正（NTT中国）
外野手: 佐藤和弘（熊谷組）、黒木義美（熊谷組）、坂口裕之（日本石油）、家永裕章（住友金属）、岡田仁（新日本製鐵室蘭）
指名打者: 和田武徳（日本石油）、川畑伸一郎（住友金属）、森山茂（熊谷組）

記憶に残る大会記録

第16回大会は、記録の面でも特筆すべきものが多く生まれました。

1試合最多本塁打（8本）: 1回戦の四国銀行対NTT東北戦で、両チーム合計8本塁打が飛び出し、大会記録に並びました。
1試合チーム最多本塁打（8本）: 同試合で四国銀行が単独チームとして8本塁打を放ち、こちらも大会記録に並びました。
毎回安打: 松下電器が1回戦のNTT信越戦で、全イニングで安打を記録しました。
全員安打: 1回戦の日本石油対神戸製鋼戦、2回戦の熊谷組対トヨタ自動車戦で、出場選手全員が安打を記録しました。
1試合チーム最多犠打（6）: 日本石油が準々決勝の新日本製鐵室蘭戦で6犠打を記録し、大会タイ記録となりました。
連続奪三振（6）: 日本生命の木村恵二投手が準々決勝の西濃運輸戦で6者連続奪三振を達成し、大会タイ記録となりました。
* 全員奪三振: 日本石油の金沢健一投手が準々決勝の新日本製鐵室蘭戦で、対戦した全打者10人から三振を奪いました（合計11奪三振）。

このように、第16回社会人野球日本選手権大会は、住友金属の優勝、ルーキー尾山の活躍、そして数々の大会タイ記録・新記録が誕生した、見どころの多い大会となりました。

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