第17回東京国際映画祭

第17回東京国際映画祭：2004年の映画祭を彩った輝き

2004年10月22日から31日までの9日間、第17回東京国際映画祭が開催されました。この年、映画祭は六本木と渋谷という2つの主要都市を舞台に、活気あふれるイベントとなりました。特に、六本木ヒルズ内のTOHOシネマズ六本木ヒルズが主要会場として使用されたのは、この回が初めてでした。渋谷会場では、オーチャードホール、シアターコクーン、ル・シネマなどを活用し、多様な上映プログラムを提供しました。

映画祭は、10月22日のオープニング・イヴ、『2046』の上映からスタート。六本木ヒルズのスクリーン7が、644人の観客で埋め尽くされました。

この回からの大きな変化として、新たな部門と賞の創設が挙げられます。「日本映画・ある視点」部門が新設され、日本の映画界の多様性をさらに深く探る取り組みが始まりました。また、観客の投票による「観客賞」と、日本の映画界に多大な貢献をした人物を表彰する「黒澤明賞」が創設されました。黒澤明賞は、その後も5回にわたり開催されましたが、第21回を最後に終了しました。さらに、最優秀アジア映画賞受賞作品が、コンペティション部門の受賞資格を持つという新たな規約も導入されました。

コンペティション部門のプログラミング・ディレクターは、吉田佳代が務めました。

第17回は、多様な協賛企画も大きな特徴でした。J-WAVE選定の音楽映画9作品を上映する「メディアセレクション」、渋谷と六本木を結ぶサテライト上映会、東京ネットムービーフェスティバル、東京アニメ映画祭、国際CG映像祭など、映画祭の枠を超えた多彩な企画が展開されました。これらを通して、映画祭は多様なジャンルの作品と観客を繋ぎました。

受賞作品と審査員

コンペティション部門

東京グランプリ・都知事賞：『ウィスキー』（監督：フアン・パブロ・レベージャ、パブロ・ストール）
審査員特別賞：『ココシリ：マウンテン・パトロール』（監督：ルー・チューアン）
最優秀監督賞：イム・チャンサン（『大統領の理髪師』）
最優秀主演男優賞：オルジャス・ヌスパエフ（『スキゾ』）
最優秀主演女優賞：ミレージャ・パスクアル（『ウィスキー』）
最優秀芸術貢献賞：『ニワトリはハダシだ』（監督：森崎東）
観客賞：『大統領の理髪師』（監督：イム・チャンサン）

アジア映画賞

最優秀アジア映画賞：『可能なる変化たち』（監督：ミン・ビョンクク）

日本映画・ある視点部門

作品賞：『樹の海』（監督：瀧本智行）
特別賞：津田寛治（『樹の海』の演技に対して）

その他

* 第1回黒澤明賞：スティーヴン・スピルバーグ、山田洋次

審査員は、山田洋次（審査委員長）、イ・チャンドン、ピアース・ハンドリング、シェカール・カプール、ヴィルジニー・ルドワイヤン、佐々木史朗ら、国際的な顔ぶれが揃いました。アジア映画賞の審査員には、土屋好生（審査委員長）、万田邦敏、北小路隆志らが名を連ねました。

多彩な上映作品

コンペティション部門をはじめ、特別招待作品、アジアの風、新作パノラマ、フィリピン映画特集、香港映画特集、デジタルリマスター作品など、世界中から選りすぐられた多様な作品が上映されました。さらに、日本映画・ある視点部門では、日本の才能を改めて世界に示す機会となりました。 森田芳光監督作品特集やSMA FILMS DAYといった企画も実施されました。

第17回東京国際映画祭は、新たな試みと国際的な連携によって、日本の映画界に大きな影響を与えました。この映画祭は、新たな才能の発掘、国際交流の促進、そして映画文化の振興に大きく貢献したと言えるでしょう。

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