第18回ショパン国際ピアノ・コンクール

第18回ショパン国際ピアノコンクール：カナダ人ピアニストの栄光と技術革新

2021年、ポーランドのワルシャワで、第18回ショパン国際ピアノコンクールが開催されました。この権威あるコンクールは、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、当初の2020年から2度延期された後、10月2日から23日にかけて行われました。世界各国から選抜された実力者たちが、ショパンの楽曲を演奏し、熱い戦いを繰り広げました。

コンクールの道のり：厳しい選考と熱戦

当初、2020年4月には予備予選、10月には予選と本選が予定されていましたが、感染症拡大の影響で延期を余儀なくされました。最終的には、予備予選が7月に、予選と本選が10月に実施されました。151名の応募者の中から選ばれた87名が一次予選に参加、そこからさらに選抜を重ね、12名が本選へと駒を進めました。熾烈な競争を勝ち抜いたのは、カナダのブルース・シャオユー・リウ氏でした。彼は見事優勝を掴み取り、ショパンコンクール史上新たな歴史を刻みました。

審査は非常に厳格に行われました。予選では、審査員による「次のステージへの進出」の可否と、1～25点のスコアによる評価が行われました。本選では、これまでのパフォーマンスも踏まえた上で、1～10点の評価が与えられ、最高点の10点は1名のみが獲得できるルールでした。審査員による採点には、平均点からのずれを修正する仕組みが導入されており、公平性を保つ工夫がなされていました。また、複数のピアニストが同点となるなど、審査の難しさも垣間見えました。

演奏と選曲：伝統と革新の融合

出場者は、ショパンの様々な楽曲を暗譜で演奏する必要がありました。予備予選で演奏された曲と一部重複も許容されましたが、予選以降は重複が禁じられており、演奏曲の選定は重要な戦略の一つとなりました。楽譜はどの版でも使用可能でしたが、ポーランドのナショナル・エディションであるエキエル版が推奨されました。

また、コンクールの舞台では、ヤマハ、カワイ、ファツィオリ、そして2台のスタインウェイという5台のピアノが用意され、出場者は15分間の時間を使って演奏するピアノを選択しました。スタインウェイが人気で、87名中43名がスタインウェイ479を選択しました。

世界へ向けた発信：革新的なライブ配信

本大会は、ポーランド国内の公共テレビとラジオで放送されるだけでなく、YouTubeやモバイルアプリを通じて全世界へライブ配信されました。特に注目すべきは、4K解像度とVR技術を用いた配信が初めて導入されたことです。これは、世界中の音楽愛好家が、より臨場感あふれる形でコンクールを楽しむことを可能にしました。さらに、ニューヨーク、ロンドン、パリなど世界主要都市では、パブリックビューイングも開催され、ショパンの音楽が世界中に広く届けられました。

まとめ：伝統と革新の融合が新たな歴史を刻む

第18回ショパン国際ピアノコンクールは、新型コロナウイルスという困難を乗り越え、開催されました。ブルース・シャオユー・リウ氏の優勝、そして革新的なライブ配信技術の導入は、このコンクールの歴史に新たな1ページを刻む出来事となりました。伝統を守りながら、時代に合わせて進化を続けるショパンコンクールは、今後も世界中の音楽愛好家を魅了し続けることでしょう。

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