第18回ベルリン国際映画祭

1968年6月21日から7月2日にかけて、第18回ベルリン国際映画祭が開催されました。この年は、5月に発生したフランスの五月革命の影響でカンヌ国際映画祭が中止されるという前代未聞の事態が発生しており、ベルリン映画祭でも同様の社会運動や抗議行動が起こるのではないかと、関係者は強い懸念を抱いていました。

しかし、結果的には大きな混乱もなく、映画祭は予定通り開催されました。世界情勢が不安定な中での開催だったため、その成功は関係者にとって大きな安堵だったと言えるでしょう。

この年の金熊賞には、ヤン・トロエル監督によるスウェーデン映画『Ole dole doff』が輝きました。同作品は、社会や政治情勢を反映した作品だったという説もあり、その選考は、世界的な変動期にあった当時の世相を反映していたのかもしれません。

その他の賞も、国際的な顔ぶれが受賞しました。銀熊賞には、ヴェルナー・ヘルツォーク監督の『生の証明』、ドゥシャン・マカヴェイエフ監督の『保護なき純潔』、エンツォ・ムッツィ監督の『Come l'amore』が審査員特別賞を受賞しました。監督賞にはカルロス・サウラ監督（『ペパーミント・フラッペ』）、男優賞にはジャン＝ルイ・トランティニャン（『消される男』）、女優賞にはステファーヌ・オードラン（『女鹿』）がそれぞれ選ばれました。

コンペティション部門には、世界各国から数多くの長編映画が応募され上映されました。出品作品は、アルファベット順に並べると、多くの国々の映画が名を連ね、国際的な映画祭であることを改めて示していました。（※本文では長編映画のみ記載、邦題未定の作品は原題と英題を併記）

審査員は、スペインのルイス・ガルシア・ベルランガ監督、西ドイツのペーター・シャモーニー監督、ブラジルのアレキス・ヴィアニ監督、イタリアの脚本家ドメニコ・メッコリ氏、フランスのプロデューサーであるジョルジュ・ド・ボールガール氏、イギリスの批評家であるアレクサンダー・ウォーカー氏、そしてスウェーデンのカール＝エリック・ノードバーグ氏、アメリカのゴードン・ヒッチンズ氏、西ドイツのカルステン・ペーターズ氏といった、錚々たるメンバーによって構成されていました。それぞれの国の映画界を代表するような人物が顔を揃えており、公平かつ多角的な視点から審査が行われたと推察されます。

第18回ベルリン国際映画祭は、世界的な動乱の只中で開催されたにも関わらず、成功裏に幕を閉じました。この映画祭は、映画を通して世界の人々と文化の交流を促し、映画界に大きな影響を与えたと言えるでしょう。選出された作品や審査員の顔ぶれは、当時の社会情勢や映画界の潮流を反映しており、歴史的な記録として価値のあるものです。

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