第19回社会人野球日本選手権大会

第19回社会人野球日本選手権大会 概況

1992年（平成4年）10月10日から10月17日までの8日間、神戸市のグリーンスタジアム神戸にて、第19回社会人野球日本選手権大会が開催されました。全国から選ばれた精鋭チームが集い、社会人野球の日本一を目指して熱戦を繰り広げました。

この年の大会には、山陽国策パルプ旭川と関東自動車工業が社会人野球日本選手権に初めて出場しました。これは2年ぶりの初出場チームの登場となりました。また、過去に出場経験がありながら、10年以上の長い空白期間を経て再び本大会の舞台に立ったチームも3チーム見られました。継続して力を維持することの難しさと、復活を遂げたチームの努力が垣間見える大会でもありました。

連続出場記録としては、NTT四国が10年連続出場を達成しました。これは、過去に松下電器が成し遂げて以来、2チーム目となる快挙であり、チームの安定した強さを示す記録となりました。

大会は波乱含みの展開を見せました。特に注目されたのは、この夏の都市対抗野球大会で優勝したばかりの日本生命が、1回戦でまさかの敗退を喫したことです。また、大会のクライマックスである準決勝に残った4チームが、すべて関東以東に本拠地を置くチームとなったことも特筆されます。近畿以西のチームが4強に残れなかったのは、日本選手権の歴史上初めての出来事であり、当時の社会人野球における地域的な勢力図の変化を感じさせる結果となりました。

本大会には、同年開催されたバルセロナオリンピックの野球日本代表に選ばれた選手を多数擁するチームが出場しており、彼らのプレーが大会を一層盛り上げました。そうした強豪チームがひしめく中で、とりわけ存在感を発揮したのは東芝でした。バルセロナオリンピック代表投手を2人も擁する東芝は、他のチームを寄せ付けない圧倒的な実力を見せつけながら勝ち進みました。そして迎えた決勝戦では、プリンスホテルと対戦。激戦を制し、4年ぶりとなる2回目の優勝を飾りました。これにより、東芝は住友金属に次いで、社会人野球日本選手権で複数回の優勝を達成した2チーム目のチームとなりました。

決勝戦は10月17日に行われ、東芝がプリンスホテルを破って優勝を決めました。東芝の勝利投手は三原昇、プリンスホテルの敗戦投手は武藤でした。また、この試合では東芝の多田勇二が本塁打を放っています。

大会を通じて活躍した選手たちには、以下の表彰が行われました。

最高殊勲選手賞: 三原昇（東芝・投手）
敢闘賞: 佐藤友昭（プリンスホテル・外野手）
打撃賞: 小林直人（東芝・内野手）
首位打者賞: 小林直人（東芝・内野手）、多田勇二（東芝・外野手）、佐藤友昭（プリンスホテル・外野手） - 13打数6安打、打率.462

また、大会で顕著な活躍を見せた選手は、大会優秀選手として選出されました。

投手：三原昇（東芝）、杉山賢人（東芝）、武田勉（新日本製鐵室蘭）、小桧山雅仁（日本石油）、山部太（NTT四国）
捕手：高見泰範（東芝）、高柳靖法（日本石油）
一塁手：山下和輝（プリンスホテル）、横井信一（NTT信越）、徳永耕治（日本石油）
二塁手：葛城弘樹（東芝）、戸栗和秀（プリンスホテル）
三塁手：畠山弘彰（東芝）、若林重喜（日本石油）
遊撃手：西村隆史（東芝）、橋本秀樹（新日本製鐵室蘭）
外野手：多田勇二（東芝）、佐藤友昭（プリンスホテル）、船尾隆広（新日本製鐵室蘭）、芝和彦（NTT四国）
指名打者：小林直人（東芝）、大久保秀昭（日本石油）

この大会では、いくつかの特筆すべき記録も生まれました。

毎回安打: 1回戦の川崎製鉄水島 対 日本生命戦、1回戦の日本通運 対 JT戦、2回戦の住友金属 対 東芝戦で記録されました。
連続奪三振: 日本石油の小桧山雅仁投手が、1回戦のNTT北陸戦において6者連続奪三振を記録しました。これは当時のタイ記録でした。

第19回大会は、新たなチームの台頭、歴史的な地域偏重、そしてオリンピック代表選手たちの華麗なプレーによって彩られ、東芝の圧倒的な強さが際立つ大会となりました。社会人野球のレベルの高まりと多様性を示す一幕であったと言えるでしょう。

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