第2バチカン公会議

第2バチカン公会議：20世紀カトリック教会を揺るがせた歴史的転換点

第2バチカン公会議は、1962年から1965年にかけて開催されたカトリック教会の公会議です。ローマ教皇ヨハネ23世によって招集され、パウロ6世によって完遂されました。この会議は、カトリック教会の歴史において重要な転換期であり、現代のカトリック教会の姿に多大な影響を与えています。

公会議への道のり：長く険しい準備期間

第1バチカン公会議（1869～1870年）では、近代革命世界への批判的な姿勢が示されました。しかし、20世紀に入ると、教会の現代化の必要性が聖職者や信徒の間で強く認識されるようになります。

ピオ11世は公会議の開催を検討しましたが、枢機卿たちの反対により断念。ピオ12世も同様の試みを行いましたが、成功しませんでした。

1959年、ヨハネ23世が突如として公会議の招集を発表したことは、教会関係者に大きな衝撃を与えました。ヨハネ23世自身、熟考の末の決断ではなく、直感的なひらめきによるものだったと言われています。

この発表は、教会内部の意見対立を鮮明にしました。カール・ラーナーやイヴ・コンガールら「近代社会の経験知と伝統的信仰の調和」を目指すグループと、ヨーゼフ・ラッツィンガー（後のベネディクト16世）ら「古代教会の信仰に活力の源泉を見出す」グループが対立しました。

激動の公会議準備：対立と妥協の繰り返し

公会議開催に向けて2年間の準備期間が設けられ、世界中から意見書が集まりました。10の委員会と中央準備委員会が設置され、公会議議題の草案作成が行われました。

しかし、準備段階から、オッタヴィアーニ枢機卿ら保守派と、ベア枢機卿ら進歩派との間で激しい対立が生じました。保守派は伝統的な教義の厳格な維持を主張し、進歩派は現代社会の状況を考慮した教会改革を訴えました。

スーネンス枢機卿による草案整理計画（スーネンス計画）は、膨大な草案を整理し、教会内部と外部へのメッセージという2つの枠組みで再構成しました。

特に、「信教の自由」や「教会と国家の関係」に関する草案をめぐっては、激しい論争が繰り広げられました。保守派はカトリック信仰の保護を重視し、進歩派は普遍的な信教の自由を主張しました。

第1会期：予期せぬ展開と進歩派の台頭

1962年10月11日、サン・ピエトロ大聖堂で公会議が開幕しました。ヨハネ23世は、慈悲をもって世界の問題に対処する姿勢を強調しました。

しかし、最初の委員会委員選挙において、進歩派が予想外の勝利を収めます。教皇庁が提案した名簿を覆し、進歩派が委員の多くを占めることになりました。これは、公会議の進め方に大きな影響を与えました。

続く会期：激論と妥協、そして新しい教会像へ

第2会期以降も、聖母マリアの地位や司教団の役割をめぐる論争が続きました。保守派と進歩派は、それぞれの立場を主張し続けました。

しかし、同時に、妥協と合意も進められました。特に、エキュメニズム（キリスト教諸教会の合一）や信教の自由に関する議論は、現代社会における教会の役割を再定義する上で重要でした。

1963年6月、ヨハネ23世が死去。後継のパウロ6世は公会議を継続し、優先議題を明確にしました。

第3、第4会期では、現代社会における教会の役割を問う『現代世界憲章』（Gaudium et Spes）など、多くの重要な文書が採択されました。

公会議の解釈：不連続か、改革か

公会議終了後、その解釈をめぐる議論が続きました。ベネディクト16世は、「不連続と断絶」と「改革」という2つの解釈法を提示し、公会議の成果を正しく理解する重要性を訴えました。

公会議の主要テーマ

公会議では、教会論、典礼、聖書と啓示、司教のあり方など、多岐にわたるテーマが議論されました。これらの議論は、現代のカトリック教会の姿を形作る上で重要な役割を果たしました。

公会議の影響とその後

第2バチカン公会議は、カトリック教会の現代化（アジョルナメント）を推進しました。典礼の改革、信徒の積極的な役割の重視、エキュメニズムの推進など、教会のあり方に大きな変化をもたらしました。その影響は、現代のカトリック教会の活動に深く刻まれています。

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